「あなたは発達障害です」と言ってほしい女性たち…完璧主義の生きづらさ

 その可能性は低いのに「私は発達障害かも」と思う人が増えているという、医療の問題というより社会的な現象について取り上げ、その原因などを考えてみたい、というのが目的だ。



■誰だって世界に二人といない「かけがえのない自分」

 この本は、「発達障害そのもの」についての入門書ではなく、「発達障害を取り巻く医療の問題と世間の問題」について書いたものだ。



 実際にこの障害を抱えて支援を受け、社会や施設で懸命に生きる当事者や家族を批判するものではまったくないことを、強調しておきたい。



「何者かでいたい」という私たちの欲望は、とくにこの現代社会、根深くてキリがない。もちろん「スターとして注目を集めたい」「作家になって多くの人を感動させたい」といった前向きな夢や願望もあるが、これはなかなかかなうものではない。



 そういう人たちの一部がいま、メンタルクリニックを受診し、「私に病名をつけてください」と言っているように思うのだ。その人たちは社会全体から見るとごく一部だが、そこに集約されているいまの社会の問題は、そう簡単には解決できない気がする。



 発達障害の人も、そうでない人も、誰だって世界に二人といない、かけがえのない自分なのだ。すべての人がそういう手ごたえを持って生きて行ける世の中になることを、心から願っている。



<プロフィール>
香山リカ
1960年北海道生まれ。精神科医。東京医科大卒。立教大学現代心理学部映像身体学科教授。豊富な臨床経験を生かして、現代人の心の問題を中心にさまざまなメディアで発言を続けている。専門は精神病理学。『しがみつかない生き方』(幻冬舎新書)、『「私はうつ」と言いたがる人たち』(PHP新書)、『多重化するリアル―心と社会の解離論』(ちくま文庫)、『「わかってもらいたい」という病』(廣済堂出版)など著書多数。
連載・レギュラー:北海道新聞(ふわっとライフ)、毎日新聞(ココロの万華鏡)、創(「こころの時代」解体新書)。



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