
(ノンフィクションライター 亀山早苗)※写真はイメージです
男性、無職、ひきこもり。
親に口うるさく「就職しろ」と言われての親殺し。あるいは、親が子の将来を悲観しての子殺し。“ひきこもり”にそんなイメージを抱いてはいないだろうか。私自身、そう感じていたし、親の気持ちを考えると、せつなくもなった。
実際「ひきこもり」とされる人による事件は少なくない。今年4月、鹿児島県日置市で祖父母や親族、近所の人ら5人が殺害された事件が起こった。犯人は38歳無職の男性。高校を中退し、一時期は働いたが、長年にわたってひきこもっていたという。6月に東海道新幹線の車内で殺傷事件を起こした容疑者(22)も、ひきこもりに近い状態だったという噂(うわさ)がある。こういう事件が起こると、「ひきこもりって怖い」というイメージを抱かれやすくなる。
しかし、だ。全国に100万人以上いると推測されるひきこもりの人たちがみんな事件を起こすわけではない。彼らの本当の「素顔」はどういうものなのか。何が原因でひきこもり、どうやって外に出られるようになるのか。私はどうしても、彼らに会って話を聞きたくなっていた。