直木賞作家の新刊に学ぶ「世界の中心だと信じた場所もいずれ喪失する」ということ

直木賞作家の新刊に学ぶ「世界の中心だと信じた場所もいずれ喪失する」ということ
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東山彰良さん 撮影/山田智絵

 台北の繁華街にある小さな通り、紋身街。タトゥーショップが立ち並ぶこの一角を舞台に、主人公の9歳の少年がちょっとクセのある大人たちに囲まれて過ごす日々を描いたのが、直木賞作家・東山彰良さんの連作短編集『小さな場所』だ。



 ちなみに紋身街は、作中で《世界中のどの街にもかならず一本はあるだろうと思われる、街の恥部のような細くて小汚い通り》と評されている。台湾出身の東山さんが、ここを舞台に選んだのはなぜだろうか。



■日本の読者を異空間に連れて行ってくれる

「僕が好きな小説に、ノーベル賞作家のV・S・ナイポールが書いた『ミゲルストリート』があります。これはトリニダード・トバゴにある一本のストリートを軸に据えて普通の人々を描いた作品で、僕もこんな物語を書いてみたいと思っていました。



 紋身街を選んだ理由は、僕が育った広州街に近くてよく知っている場所だったことと、日本の読者を異空間に連れて行ってくれるだけの魅力あるストリートだから。実際の紋身街は、全長30メートルほどの本当に短い通りなんですけどね」



 とはいえ、紋身街が現在のようなタトゥーショップの街になったのは'90年代に入ってからのこと。東山さんが子どものころにはあまり触れる機会がなかった刺青の文化を詳しく知るために、取材もしたそうだ。



「実は、ちょうどこの作品を書いているときに、僕の女性のいとこが彫り師になったんです。彼女が扱うのは主に眉毛やアイラインを描いたりする美容用タトゥーですが、彼女から今まで知らなかったことをたくさん教えてもらいました。例えば、作中に“微刺青”という5年ほどで消えるタトゥーの話が出てきます。


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