
性被害を訴える女性の「告発記事」がSNS上で反響を呼んでいる。福祉団体で活動中、性暴力を受けたにもかかわらず、被害の口外をとがめられ、黙殺され続けてきたのだ。打ちのめされてなお声を上げた「本当の理由」を、女性が週刊女性だけに打ち明けてくれた。
■相談相手は心配するどころか……
「福祉団体に関わる中で、外部の関係者から性暴力を受けました。スタッフや責任者に相談しても十分に話を聞いてもらえず、警察に届け出ることも止められ、被害をなかったように扱われたのです」
そう打ち明けるのは田中慶子さん(30代=仮名)だ。事件は2015年9月、東京・豊島区の『べてぶくろ』と呼ばれる福祉団体で起きた。自治会のイベント準備中、そこへ出入りしていた地域住民の鈴木章氏(仮名)から性暴力被害を受けたのだ。
「当時、午後4時まで介護ヘルパーの仕事をしていました。仕事を終えて『べてぶくろ』のある町会の会館へ行くと、スタッフの高橋五郎さん(仮名)に“鈴木がいるから、お酒の相手をして”と言われました。お酒がなくなり、鈴木氏と2人で奥の部屋に酒を取りに行ったら、そこでキスされたんです。両手で押しのけましたが、勝手口のドアに追いやられ、無理やり胸を触られ、下着の中に指を入れられました」
事件直後、田中さんは高橋さんに相談の電話をしている。
「高橋さんは“明日、話を聞くから”となだめるようなことを笑いながら言い、電話が切れました。翌日にも話をしましたが、性被害に遭ったのに、その場で対応しなかったことの謝罪はなく、心配しているようには見えませんでした。そればかりか(性被害について話すと)“地域で生活しづらくなるけど、覚悟はあるの?”と、強く迫るようにも、とがめるようにも言われました」