実際、ベスト盤の限定盤BOX(定価3万800円)はフリマアプリなどで、約15万~25万円で取り引きされているし、錦織が演出する舞台の音楽を担当する西寺郷太(ノーナ・リーヴス)がラジオ番組で少年隊の特集を組むと、ツイッターで毎回トレンド入りするほどの人気だ。昨今はSNSにアップしやすい手軽なカルチャーやグッズが流行する一方で、「これはスゴイ!」と思わず人に伝えたくなるほどの本物志向のものもヒットする、という二極化傾向にあるが、少年隊の場合は間違いなく後者だろう。
とはいえ、テレビで紹介される少年隊の楽曲はギンギラギンな衣装と斬新なイントロで魅せる『仮面舞踏会』、あるいは“ザ・宝塚”な美意識の高いダンスで一途に熱唱する『君だけに』、はたまた、シックなジャズナンバーなのに激しく踊りまくる『まいったネ 今夜』が主だ。いずれも前述のベスト盤(通常盤3枚組)のDisc1に収録された'80年代の曲なので、今回はDisc2に入っている'90年代の楽曲も紹介したい。
■【1】封印LOVE(1990年4月発売)
'84年に『バージンブルー』がヒットした4人組バンド・SALLYの杉山洋介が作曲を担当したこともあってか、やけに青くさいポップスの『封印LOVE』。特に、ひとつ年上の彼女にデートをキャンセルされたくらいで、ひとり渚に来て潮風にたそがれては“やっぱり彼女しかいないし、抱きしめてほしい”という余裕のなさが、これまでの少年隊らしくない。前年、スウィングジャズの雰囲気で大人の恋の駆け引きに酔いしれる『まいったネ 今夜』を歌っていたとは思えないほど子どもっぽいのだ。