ゴジラと宝田さんは、世界に誇る名タッグといえるだろう。
■国際人としての使命
だからこそ、「今じゃ僕より人気者になって! 生意気ですよ」と一笑する。
「僕はアメリカへ行くとゴジラのことをマイクラスメートと呼ぶんです。実は、欧米にはたくさんのゴジラファンがいて、ゴジラや怪獣関連のイベントが大々的に開かれている。世界がコロナ禍になる前は、シカゴやボストン、ヒューストン、ダラスという具合に招待されてはサイン攻めにあっていた」
なんでも2022年は、すでにボストンのイベントに出演することが決まっているというから驚きだ。米寿を前にして、映画の主演のみならず、国際的な橋渡し役までやり遂げる。行動力とバイタリティーは、見習うほかない。
「ゴジラを通じて世界各国のファンと交流できるのは幸せなこと。活力につながりますよね。ただ……アメリカ版『GODZILLA』はお粗末だったなぁ(笑)。飛んだり跳ねたりするのはゴジラじゃないよね」
そうかと思えば真顔に戻って、
「僕がゴジラ誕生の背景や意図を話すと、原爆を落としたアメリカ、そのファンたちがきちんと耳を傾け、頷いてくれる。あのときの東宝の願いが、今に続いているのだとうれしくなる。一方で、核兵器禁止条約に参加しない日本の政治家たちに失望する。この国を明るくするために奔走してほしい」
表情や話し方、引き出しの多さに圧倒される。“俳優”を前にしているのだと実感する。
■これからの若者にむけて