瀬戸内寂聴さんと佐藤愛子さん、冨士眞奈美が語る偉大な女性作家との思い出
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故・瀬戸内寂聴さん

 女優・冨士眞奈美が語る、古今東西つれづれ話。今回は、故・瀬戸内寂聴さんと、佐藤愛子さんについて言葉を紡ぐ。



■今も恋人がいらっしゃるんですか?と聞くと

 作家・僧侶の瀬戸内寂聴先生が永眠された。枠にとらわれない破天荒な姿に魅せられた女性は、多かったのではないかと思う。



 親友の和子っぺ(吉行和子)とは、実は寂聴さんの原作ドラマ『妻と女の間』(1969年/毎日放送・現TBS)で知り合った仲だった。撮影は、現在は『レモンスタジオ』と呼ばれている砧にある撮影所で行われた。



 彼女とは姉妹という設定。私が入院をしているところに、和子っぺがやってきて、“ベッドの上で花札(こいこい)をやる”というシーンがあった。そのときに、「この人とは仲よくなりそうだな」と感じたことを覚えている。



 この作品は、毎日新聞社から'69年に刊行され、'76年には映画化もされている。発表された当時の寂聴先生は、まだ御髪を下ろす前。女性の情念を克明に綴った『花芯』という作品から“子宮作家”と呼ばれていた。



 ドラマの撮影が終わり、打ち上げパーティーのとき。寂聴先生は、渋く素敵な着物をお召しになられていた。私が「今も恋人がいらっしゃるんですか?」と尋ねると、寂聴さんはこともなげに「もちろんよ、当たり前じゃないの」と笑った。おそらくそれは、道ならぬ恋のお相手であった作家の故・井上光晴氏だったんだろうなって、今にして思う。