
入学、入社、異動、引っ越し……新たな出会いが多い春。初めましての挨拶で「何て読むの、この名字?」なんてシーンも多いはず。日本人の誰もが持ちながら、あまりに千差万別。たかが名字、されど名字! 姓氏研究家の森岡浩さんに“名字のナルホド”を聞いてみました。
“宮崎”あおい、“香川”照之。47都道府県と同じ名字は全部ある?■そもそも名字とは?
結婚や養子縁組によって途中で名字が変わる人や、芸名や筆名などを使う人もいるが、日本人が戸籍に登録できるのは、名字も名前もひとつずつ。
そんなの当たり前と思いきや、ノーベル平和賞受賞で知られるミャンマー国家顧問、アウン・サン・スー・チーさんは、“アウン”“サン”“スー”“チー”のすべてが名前。なんと、ミャンマーには名字がない。世界をお騒がせ中のアメリカのトランプ大統領のフルネームはドナルド・ジョン・トランプ。“ドナルド”が名前、“ジョン”がミドルネーム、“トランプ”が名字だ。
「要するに名字や名前は、国によって考え方や構造が全然違うんです」(森岡浩さん、以下同)
■名字って何種類あるの?
日本人の名字って一体、何種類あるの?
「日本には、おおよそ10数万の名字があるといわれていますが、正確な数はわからないんです。他人の戸籍を見ることはできませんし、5年に1度の国勢調査でも政府は名字の数を数えていないので。ただ、ときどき“日本の名字は世界一多い”と紹介されることもありますが、これは誤り。日本はアメリカ、イタリアに次いで3番目くらいではないかと思います」