海岸を歩いていると、海を渡ってきた様々な漂着物を目にすることがある。流れ着いたものはどこで、どんな人が、どのように扱っていたのか――思いを馳せるのもまた楽しい。

ツイッターユーザーのyuccuri(@slowlyslowly_6)さんも北海道の海岸で漂着物を発見。その画像をツイッターに投稿し、注目を集めている。

yuccuriさんが海岸で見つけたもの...それがこちらだ。

海を渡ってやってきた...? 青森の伝統工芸「八幡馬」、北海...の画像はこちら >>

泳いできた(?)八幡馬(画像はyuccuri@slowlyslowly_6さん提供)

「馬」だろうか...。長めの胴体には、たてがみとしっぽのようなものが付いている。黒地に白・青・茶などの塗料で独特なペイントが施され、何かの作品のようだ。

yuccuriさんは投稿日の朝、2020年8月15日の10時頃にこれを発見。画像とともに、

「今日の浜歩きで見つけた、木製の馬の人形。何となくイケアに売ってそうと思いましたが、調べたら『八幡馬(やわたうま)』という、青森県八戸市を中心とする南部地方に古くからある郷土玩具であることが判りました。ようこそ北海道へ!」

と投稿している。

八幡馬は玩具として親しまれる八戸市の伝統工芸品。yuccuriさんが発見した場所は北海道南部の海岸だというが、青森から海を渡ってきたのだろうか。

誰かが海岸に放置した可能性もあるが、いずれにしても「珍客」であることには違いないことだろう。

ツイッターではyuccuriさんの投稿に対し、

「青森県八戸市の八幡馬が海を渡り北海道の地へ...感慨深いです」
「凄く綺麗なので、最近流されたのかな。物語が始まりそう」
「なんだか"ご縁"を感じる拾い物」

といった声が寄せられている。

結婚・新築・卒業祝いの記念品

Jタウンネットは8月18日、yuccuriさんに八幡馬を発見した時の状況を聞いた。

その日はビーチコーミング(海岸の漂着物を収集・観察すること)のために、海岸を訪れていたというyuccuriさん。ほとんど収穫がなく、引き返そうと思っていた時に八幡馬を発見した。

八幡馬は打ち上げられた流木や海藻などと一緒に落ちていたという。

yuccuriさんは発見当時の印象を、

「デザインが何となく北欧の物のように感じたので、イケアに売ってそうと思いました」

と話す。

他のツイッターユーザーとのやり取りによれば、傷みはほぼ無かったとのこと。自宅に持ち帰ってネットで調べたところ、八幡馬の可能性が出てきたという。

海を渡ってやってきた...? 青森の伝統工芸「八幡馬」、北海道の海岸で発見される

かわいい(画像はyuccuri@slowlyslowly_6さん提供)
海を渡ってやってきた...? 青森の伝統工芸「八幡馬」、北海道の海岸で発見される

八幡馬(画像はflikerより、Kiki Aさん撮影)

編集部でも確認してみると、たしかに形は八幡馬そっくり。若干の個体差はあるが、デザインも似通っている。

青森県の伝統工芸品等を扱うカネイリミュージアムショップ(青森県八戸市)のウェブサイトによると、八幡馬は「胸や腹に丸みがあるのが特徴」。yuccuriさんが拾ったものも、胸や腹の部分が弧を描いている。八幡馬とみてまず間違いないだろう。

八幡馬を製造・販売する「八幡馬」(青森県八戸市)の公式サイトによれば、八幡馬は八戸市の天狗沢・笹子地域に伝わり、農閑期の副業として作られるようになった。時期は不明だが明治初期にはすでに存在したといわれているという。

基調とする色は、黒、赤、白など。

現在は結婚・新築・卒業・出産祝いの記念品として定着しているようだ。

ちなみに投稿者のyuccuriさんは、拾った八幡馬を自宅に飾っているとのこと。どうやら「縁起物」のようなので、きっといいことがあるだろう。