「電車やバスの優先席では、高齢者や妊婦、乳幼児を連れている人、体が不自由な人、ヘルプマークを付けている人が優先される」

この認識は多くの人に染みついており、「優先席が空いていても座らない」という人は多そうだ。

車内に立っている人が居るのに、優先席だけはぽっかりと空いている――そんな光景を目にすることもある。

だからこそ、というべきか、優先席に座る若者は糾弾されることがあるらしい。

「妊娠初期、つわりと仕事でクタクタの私。電車の優先席に座った...の画像はこちら >>

複数の読者から、「事情があって優先席に座っていたのに、他の乗客から攻撃された」と嘆くメールがJタウンネット編集部宛に届いた。

なぜ、そんなことが起きてしまったのか。その声に耳を傾けてみよう。

目の前に立った老人が、本で私の頭を...

大阪府在住・Aさん(仮名、60代女性)の場合

もう40年ほど前のことです。当時、大学生だった私は体調が悪く、優先席に座っていました。

老人が私の前に立ったこともわからずに、下を向いていました。

すると、その老人が、単行本で私の頭を殴ったのです。

「妊娠初期、つわりと仕事でクタクタの私。電車の優先席に座ったら、遊び帰りの老人に大声で叱られて...」(大阪府・40代女性)

びっくりして、立ち上がりました。私は「すみません!」と謝りましたが、老人はにらみつけながら私のいた席に座りました。

それからのことは覚えていません。殴られた記憶が、今もこびりついています。

「ここは優先席や」

大阪府在住・Bさん(仮名、40代女性)の場合

妊娠3ヶ月の頃、会社から帰宅する途中、満員の地下鉄で優先席に座っていました。

つわりと仕事でもうクタクタで、まどろんでいたら、いきなり肩を強く叩かれ目が覚めました。

顔を上げると、年配の男性が

「ここは優先席や」

と、大声で私を叱りました。「若い女性は座るな。自分に譲れ」と言いたかったのでしょう。

当時は妊娠初期で本当につらく、「妊娠中です」と答えるのがやっとでした。

隣にいた中年の男性が、そのおじいさんに席を譲りました。

まだお腹は大きくなかったので、外見からは、こんなにも体調が悪い不安定な時期とはわかっていただけないと思います。

「妊娠初期、つわりと仕事でクタクタの私。電車の優先席に座ったら、遊び帰りの老人に大声で叱られて...」(大阪府・40代女性)

しかし、若い女だというだけで、寝ているところを暴力で起こし説教する老人......。ご本人は個人的なレクリエーションの帰りのようだったので、遊ぶ元気はあるのでしょう。

しかも私の隣の中年の男性が優先席に座っている事実は無視し、私だけ叱るなんて。

こんなお年寄りが多い社会で、安心して子供を産み育てることに不安を覚えた体験でした。

「立っているのも辛い状況で...」

――いずれも、一見、健康そうに見える若者が優先席に座っていることに、高齢者が腹を立てて起こったトラブルである。

しかしAさんもBさんも、体調不良や妊娠中という事情があったのだ。

その話を聞こうともせず、初手で「本で殴る」「肩を強く叩く」なんて......彼女たちの恐怖や不快感は計り知れない。

一方で、中にはこんな経験をした女性もいる。

神奈川県在住・Cさん(仮名、50代女性)の場合

20代前半のころのことです。病弱な私はある日、帰宅ラッシュのバスに乗ることになりました。

立っているのも辛い状態だが、混んでいるのだから座れなくても仕方がない。そう思いながらバスに乗り込むと、優先席に座っていたおじいさんが、手招きして私に座るよう促しました。

遠慮すると、おじいさんはバス全体に聞こえそうな大きな声で

「この席は今の貴女に必要だ! 遠慮せずに座りなさい」

と言って、席に座らせてくれました。

「妊娠初期、つわりと仕事でクタクタの私。電車の優先席に座ったら、遊び帰りの老人に大声で叱られて...」(大阪府・40代女性)

当時20代前半だった私は、このおじいさんの配慮ある言葉に背中を押され、約30分のバス移動をかなり快適に過ごす事ができました。

用事を済ませて帰宅するまで無事だったのは、おじいさんの優しさのお陰です。

こんな素敵すぎる大人になりたいと、願わずには居られません。

あの時はありがとうございました。どれだけ助かった事か!

「のりもの」でそんな体験をしたことはありますか?

AさんBさんとは対照的な、Cさんの体験談。

優先席に若者が座っている、と反射的に怒るのではなく、このおじいさんのように、相手の事情を気遣う余裕も忘れずにいたいものだ。

皆さんも、優先席についてモヤモヤ、イライラしたことや、反対に助かった経験をしたことはあるだろうか。Jタウンネットでは皆さんのそんな体験談を募集している。

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