
11月21日は「ギネス世界記録の日(GWR Day)」だったそうだ。これは、2004年のこの日、書籍版「ギネス世界記録」の売り上げが1億冊を超えたことを記念に制定されたものである。
毎年この日には、世界各地で新たな世界記録への挑戦が行われたり、世界記録保持者たちによるイベントが行われたりしている。
2024年のGWR Dayには、2人のギネス世界記録保持者がその「アイコン(象徴)」として、ロンドンにあるサヴォイ・ホテルでアフタヌーンティーを楽しんだ。
2人はそれぞれ、現在存命する中で「一番背の高い女性」と「一番背の低い女性」のギネス記録を持つ女性たちである。
世界一背の高い女性と背の低い女性の「女子会」
この2人はトルコ出身のルメイサ・ゲルギさん(27)と、インド出身のジョティー・キシャンジ・アムゲさん(30)である。
ルメイサさんは「存命中で世界一背の高い女性」に認定されており、その身長はなんと215.16cm。
そしてジョティーさんは「存命中で世界一背の低い女性」の記録保持者で、身長は62.8cmだ。
2人の身長差は152.36cmと、成人女性1人分と言ってもいいほどの差がある。
2人は、2024年11月21日、「ギネス世界記録の日(GWR Day)」にロンドンに招待され、いっしょにホテル・サヴォイのアフタヌーンティーを楽しむことに。
ギネス記録がきっかけで夢が現実になった2人
2人ともギネス世界記録保持者に認定されるまでは、苦労の多い人生を送っていたそうで、普通の生活を送ることは夢のまた夢だと思っていたそうだ。
世界を旅してみたいと願ってはいたが、それが実現するとは考えてもいなかった。ところがギネス記録保持者となったことで、2人の生活は一変した。
世界中から招待を受け、ルメイサさんは夢だったオーロラも見られたし、ジョティーさんはエジプトのピラミッドを訪れたほか、何度も来日を果たしている。
そして今回、2人はロンドンに招かれ、ホテル・サヴォイで本場のアフタヌーンティーを楽しみながらの女子会が実現したというわけだ。
ついにジョティーに会うことができて、最高でした。
彼女は本当にゴージャスな女性なの。会えるのをずっと待っていたんです。
身長差のせいで、時々目を合わせるのが難しい瞬間もありましたが、とても楽しかったです。
私たちには共通点があります。2人ともメイクやセルフケア、そしてネイルが大好きなんですよ
ジョティーさんとの出会いを嬉しそうに語るルメイサさん。この言葉を受けて、ジョティーさんも次のようにコメントしている。
私は自分より背の高い人を見上げるのは慣れていますが、今日は見上げると世界一背の高い女性がいたので、とても幸せでした。
ルメイサに会えて本当に嬉しかったです。彼女はとても気さくで、話しやすい人でした
ギネス世界記録の「アイコン(象徴)」としての役割を担う2人
今回の女子会は、単なる親睦のためだけではない。
アフタヌーンティーを楽しんだ後、2人にはギネス世界記録の編集長、クレイグ・グレンディ氏から託されたのは、世界記録保持者たちの「アイコン(象徴)」としての役割だった。
ギネス世界記録の「アイコン」となるのは、真にその精神を体現する記録保持者たちです。彼らは科学や技術、スポーツ、芸術、メディアなど、あらゆる分野から選出されています。
そして毎年、新しい記録の達成や更新の場に姿を見せ、参加してくれる熱心な記録保持者でもあります
つまりアイコンとは、ギネス世界記録の更新を通じて、世界を変えている記録保持者たちのことなんだとか。
ルメイサさん・ジョティーさんも世界記録のアイコンとして、「人々にインスピレーションを与え、世界をより面白く楽しい場所にする」役割が期待されているのだ。
ちなみに「アイコン」の称号は、ギネス世界記録保持者のみならず、人々の心を奪う素晴らしい動物たちや、人類の進歩を示す建築物なども対象になるそうだ。
2人の高身長・低身長は、それぞれ難病によるものだった
ルメイサさんの高身長は、ウィーバー症候群によるものだ。この病気は先天異常症候群の一つで、胎児の頃から高身長・高体重といった過成長を発現する。世界でも50例ほどしか確認されていない難病である。
彼女は6歳のとき既に172cmあり、周囲のすべてを自分の身体に合うように作り替えなければならず、学校に行くこともできなかった。
高身長以外の症状として、彼女は骨格にも異常があり、通常は車椅子生活だが、歩行器を使えば短時間なら歩くことも可能。現在はWEBデザイナーとして活躍しているとのこと。
ちなみにルメイサさんは高身長以外にも、「世界一大きな手を持つ女性」「存命中で一番背中の長い女性」「最も耳の長い女性」の世界記録も持っているそうだ。
高身長のため、飛行機に乗る時は横になったまま、ストレッチャーで搭乗するルメイサさん。
また、インドのナグプールで生まれたジョティーさんは、5歳の時に軟骨無形成症という病気にかかり、身長が伸びなくなった。そんな彼女は2009年から女優として活動しており、現在までに5本の映画やTVドラマに出演している。
2014年には「アメリカン・ホラー・ストーリー:怪奇劇場(シーズン4)」に小人症の女性マ・ペティート役で出演していたので、見たことのある人もいるのではないだろうか。
(マ・ペティート役は)多くの苦労もありましたが、私の人生にとってはとても大きな仕事でした。彼らといっしょに演じることができたのは素晴らしかったです
下の動画は、ジョティーさん自身を描いた映画「World’s Smallest Woman: Meet Jyoti」のトレイラーだ。
これからの2人の毎日は、ギネス世界記録のアイコンとして、忙しくなるのかもしれない。今まで以上に世界を飛び回ることになるのかも。
ギネス記録保持者となるまでの2人は、周囲に受け入れられずにいじめられたり、治療に明け暮れて学校にも行けなかったりと、つらい日々を送って来たそうだ。
その原因でもあった「人と違う自分」が、世界記録という形で世界に認められることで、彼女たちの人生は大きく変わったのだ。
グレンディ氏はアイコンの役割について、次のように語っている。
ギネス世界記録は、「違い」を称えることを目的としています。今回、2人のアイコンたちが出会うことで、それぞれの人生観をお互いに、そして私たちとも共有することができるのです
References: The world's tallest and shortest women meet in London for record-breaking tea[https://www.euronews.com/culture/2024/11/21/the-worlds-tallest-and-shortest-women-meet-in-london-for-record-breaking-tea]