4000年前の「毒と医療の魔術師」の墓がエジプト・サッカラ遺跡で発見される
Ministry of Tourism and Antiquities

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 エジプトの古代都市メンフィス近郊のサッカラ遺跡で、約4000年前の墓が発見された。

 この墓は第6王朝のファラオに仕えた医師のもので、毒に関する専門知識を持つ「魔術師」としても知られている。

 略奪の痕跡はあるものの、装飾が美しい見事な壁は無傷のまま残されており、古代エジプトの医学と魔術の重要性を示す貴重な証拠となった。

古代エジプトの王室に仕えた医師であり魔術師の墓

 この墓は、かつてのサッカラ国の宮廷医師テティ・ネブ・フ(Teti Neb Fu)のものであることがわかった。

 彼は、古代エジプト第6王朝時代のうち、紀元前2305年から2118年頃にかけて国を統治した王(ファラオ)の一人、ペピ2世に仕えた宮廷医師だ。

 テティ・ネブ・フは、「宮廷医長」「歯科長」「薬草の管理者」といった多くの役職を持っていた。

 それだけでなく、女神セルケトに仕える司祭、つまり魔術師でもあった。

 セルケトは有毒生物の女神だったため、テティ・ネブ・フもこうした生物に咬まれたり刺されたりした場合の治療の専門家であったとも考えられている。

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 この墓があるサッカラエリアは2022年から発掘が始まり、古代エジプト第1王朝の王たちや創造の神プタハの化身であるアピスの聖牛が発見されている。

 ペピ2世とその妻たちの墓の近くには、王の使用人たちの墓も発見されている。名前や称号を記したヒエログリフ(古代エジプトの象形文字)が刻まれた石棺も見つかっている。

 墓は「マスタバ」と呼ばれる平らな屋根と傾斜した壁を持つ構造で、重要人物のために用意された特別な墓の形式だ。

 墓内の壁には鮮やかな彫刻や絵画が施され、隠し扉や副葬品なども描かれている。

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古代エジプトの魔術と医学

 考古最高評議会のムハンマド・イスマイル・ハーレド事務局長によると、テティ・ネブ・フの墓が大変に手の込んだものであったことから、当時、魔術や医学の両方がいかに尊ばれていたかがわかるという。

 古代エジプト人は、脳腫瘍の治療、糖尿病診断、ワニの排泄物を避妊に利用しようとしたことなどが知られていて、座る姿勢によって骨に損傷を与える可能性があることもわかっていた可能性がある。

 3000年以上にわたって、古代エジプトの医師たちは人間の心臓血管系や初期の歯科学、うつ病や認知症の治療などに取り組んでいた。

 また、死体の防腐処理の達人でもあったため、彼らは化学のしっかりした知識ももっていたのだ。

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 そして見逃せないのは、古代エジプトでは魔術も広く実践されていたことだ。

 紀元前3世紀に「エジプトは魔術師の母」と記述された文献がある。ヘブライ語聖書にも、ファラオのそばには魔術師が必ずいて、杖を蛇に変えたりする奇跡をモーゼやアーロンと競い合ったと書かれている。

 古代エジプト人は、書かれた言葉や画像、話し言葉、儀式を操作して世界に影響を与えることができると信じていたという。

 古代エジプトでは、医学と魔術は健康や幸せを得るために互いに補完しあう、切っても切れない関係だったといってもいいだろう。

References: Ministry of Tourism and Antiquities[https://www.facebook.com/tourismandantiq/posts/pfbid0Pj1APd6ygkPmjUaiy1UnNzofGNg2Ep5N4D1KabeMDVT2UuCNairyzs6MKporrEUfl]

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