
約2500年前に作られたとされる「越王勾践剣」は、まるで異世界の魔法の武器が現実に飛び出してきたかのようだ。
その鋭い刃、金で飾られた神秘的な文字、そして奇跡的な保存状態といい、J.R.R.トールキンの物語を彷彿とさせるファンタジーな世界観にも登場しそう。
この剣はただの古代の武器ではない。時間そのものに挑戦し、現代にその存在を示す「時を超えた遺物」なのだ。
永遠の輝きを放つ奇跡の剣
越王勾践剣(えつおうこうせんけん)は中国春秋時代後期の越[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B6%8A]の王「勾践[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8B%BE%E8%B7%B5]」が8本保有していた名剣である。
中国湖北省江陵県の水没した墓の中で長らく眠っていたこの剣は、1965年12月に発見され、再び光を浴びることに。墓に埋められた経緯については、楚[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A5%9A_(%E6%98%A5%E7%A7%8B)]が越を滅ぼした際に戦利品として楚に持ち帰られ、副葬品として埋められたとされている。
数千年にわたって水に浸かっていたにもかかわらず、刃には錆ひとつなく、今でも指を切るほど鋭い。
歴史の中でこんなにも完璧な形で残る武器は、まるで魔法の力で守られているか、異世界からやってきたかのようだ。
科学者たちは、この剣の秘密を探るべく研究を重ねた。
その結果、剣の本体には柔軟性を高めるための銅が、刃には硬さと鋭さをもたらす錫が巧みに使われていることが判明した。
このような高度な冶金技術は、当時の技術水準を大きく超えており、剣の持つ神秘性を物語っている。
神話を刻む金の文字
剣には鳥蟲書[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B3%A5%E8%9F%B2%E6%9B%B8]という書体で「越王勾践・自作用剣」と刻まれており、越の王、勾践自らが作成して用いた剣だと刻字されている。
勾践は困難に耐え抜き、敵を打ち破った王として知られ、その名は英雄伝説の登場人物のように輝いている。
この剣を手にした勾践の姿を想像してみてほしい。王の手に握られた剣は、ただの武器ではなく、国を守る意志と誇りの象徴だったのだろう。
その輝きは、敵にとっては恐怖を、味方にとっては希望をもたらしたに違いない。
国外展示禁止品として厳重保管
越王勾践剣は現在、中国湖北省博物館で厳重に保管されている。
1994年、文化交流の一環としてシンガポールへ貸出中に、作業員が誤ってケースにぶつけ7mmの亀裂が入ってしまったことから、剣はさらに慎重に守られるようになったのだ。
以来、中国はこの剣を国外に持ち出すことを認めず、2013年には公式に国外展示禁止の中国文化遺産リストに登録した。
時空を超える剣の物語
越王勾践剣は、ただの歴史的遺物ではない。触れることはできないが、目にすればその場で時間が止まり、まるで古代の英雄譚の一幕を目撃しているかのような感覚を覚えるだろう。
未だ錆び一つなく、鋭さと美しさを保つ様からしても、科学と魔法、現世と異世界の境を超えた何か特別なものを感じさせる。
想像してみてほしい。この剣がJ.R.R.トールキンの『指輪物語』の中で、エルフたちによって作られた武器として登場していても全く不思議ではないだろう。
王たちの力と決意を込めて作られたこの剣は、現実の歴史の中で輝きを放ち続けている。越王勾践剣は、まさに「現実と神話の狭間」に存在する奇跡そのものだ。
References: 2,500-year-old Chinese sword remains razor sharp after discovery - Boing Boing[https://boingboing.net/2025/01/16/this-2500-year-old-chinese-sword-looks-like-something-from-the-j-r-r-tolkien-universe-that-has-entered-the-actual-historical-record.html] / Sword of Goujian's Legacy and Variations[https://www.bronze-age-craft.com/sword-of-goujian/]