
歩行ロボットがスローな時代は過去のこと?今や人間と同じどころか、なんなら追い抜くAIロボットも存在する。
このたび話題になっているのは、飛躍的な進化を遂げ、さまざまな地形を走る二足歩行のヒューマノイドロボット「Unitree G1 」と動物をお手本にした四足歩行の「Black Panther V2.0」だ。
これらはいずれもAI搭載で、これまでの歩行ロボットのイメージを一新する柔軟なバランス、またはスピードや機動力を誇る。
そろそろロボットに対する意識もアップデートしなくっちゃ!ってなる最新のロボット事情にせまってみよう。
スムーズに走るヒューマノイドロボット
こちらのUnitree G1 Bionic(ユニツリー G1 バイオニックモデル)は、これまで四足歩行ロボットが専門だった、中国広州市を本拠とするハイテク企業 Unitree Robotics(ユニティツリー ロボティクス)から誕生した。
まさに映画から飛び出してきたかのようなヒューマノイドロボットだが、これは人間の動きを模倣するAI技術により実現したという。
2024年5月に公開されたこのロボットの一番の特長は、今までロボットが苦手だった地形もなめらかに走ること。実際動画でも「世界で最もスムーズな歩行とランニング」を誇示している。
実際、このロボットは通常の歩行はもちろん、線路の上や石がゴロゴロあるところも平気で走る。階段もなんなく駆け下り、急な斜面にいたっては上り下りだけでなく横切って走ることまでできるのだ。
人間だってこうはいかないんじゃないの?ってぐらいのなめらかな歩行や走りっぷりに感嘆のため息が出る。なんかもう、初期のロボットのぎこちなさや不安定さがなつかしくなるくらいだ。
速度は時速7.2kmと人間のジョギング程度の速さだが、足元の状態を問わないあたりにテクノロジーの凄みを感じる。SFなら一定のペースで人間をどこまでも追いかけるタフなタイプだ。
ユニツリー G1 (販売中の基本モデル)の詳細はこんな感じ。
・高さ: 127cm
・重さ: 35 kg
・稼働時間:2時間
・価格: 1万6,000ドル(約250万円)
・センサー: LiDAR、深度カメラ、ほか
・関節自由度: 23度
・膝モーターのトルク: 90 Nm
100m10秒を切るロボット犬
一方こちら、Black Panther(ブラックパンサー) V2.0 は、中国の浙江省杭州市にある浙江大学ヒューマノイド研究所と同じく杭州市を拠点とするスタートアップ企業、Mirror Me(ミラー三―)が共同開発した四足歩行ロボット。
このロボットは、なんと100m10秒未満で走ることができ、ほとんどの人間を追い抜いてしまう。
必要とあらば、逃げる犯人を驚異的なスピードと機敏さで捕まえることができるだろう。
お手本はその名の通りのクロヒョウとジャンプが得意なトビネズミだ。
彼らの関節や足の構造を研究し、高速移動を実現。この改良により世界で最も速い四足歩行ロボットの一つになった。
クロヒョウってあたりにロマンあるけど、それらしいしなやかさも欲しいところ。これが平地の理想的な条件下のスピードだとしても、ロボット警察犬の素質は充分あるな。
ちなみにブラックパンサーV2.0 はこんな感じ。
・高さ: 0.63 m
・重さ: 38 kg
・スピード: 約37 km/h
・ストライド頻度(脚の回転数): 5回/秒
AIロボットの本格的な進化はこれから
この2つだけでもかなりの衝撃だが、近年もっとも進化が著しい生成系AIなどに比べれば、AIロボット工学分野はまだ新しく、進化にもまだまだポテンシャルがあるそうだ。
これからは人間のSF的な発想をも軽々と超えるロボットが、現実世界に登場し、世の中で普通になってゆくのだろう。
一昔前のイメージで「ロボットなんて動きもトロいしまだまださ!」って感覚をお持ちのかたはそろそろアップデートしといたほうがいいかもだ。
References: Newatlas[https://newatlas.com/ai-humanoids/humanoid-quadruped-robot-speed/]