
南アフリカでアート界を揺るがす衝撃の事件が起きた。世界的にもめずらしい羊のアーティスト、羊界のバンクシーこと、バーンクシーが行方不明になり、報奨金1000万円が提示された。
バーンクシー(Baanksy)氏が籍を置く動物救助団体ファーム・サンクチュアリSAによると、最後に姿が目撃されたのは2月1日の夕方で、以降は謎に包まれているという。
突然消えたバーンクシー氏の行方に、団体創設者のレフソンさんも心を痛め、警察への届け出に加え、情報提供および発見者に高額な報奨金を掲げたのだ。
手がかりのつかめない状況を打破するために、SNSで呼びかけを行い、公開捜索に踏み切ったという。
絵を描く羊バーンクシー氏の失踪事件
絵を描く羊として有名なバーンクシー氏(2歳半、オス)の失踪をSNSに公表したのは、ケープ州ケープワインランド郡フランシュフックにある動物救助団体、ファーム・サンクチュアリSAだ。
スタッフが彼の姿を見たのは2月1日の夕方までで、翌日の絵のセッションに現れなかったことで失踪が発覚した。また現場には強制的に侵入された形跡などはなかったという。
いつも淡々とキャンバスに向かい、口にくわえた画筆でダイナミックかつ繊細な作品を仕上げ、ギャラリーを魅了していたバーンクシー氏はいったいどこへ消えたのか?
謎の失踪の裏に黒い疑惑
ファーム・サンクチュアリの創設者、ジョアン・レフソンさんは、彼の突然の失踪に心を痛め、私立探偵まで雇い、地元当局と協力する形で手がかりを追っている。
一方、失踪の届け出を受けた警察は、本件を家畜盗難事件として捜査にあたっているが、レフソンさん個人は、ほかにも動物がいるのにバーンクシーだけ連れ去られたことから「悪意ある者の仕業では?」と疑っているそうだ。
過去には28万円の作品も
これまでバーンクシー氏が手がけた作品は17点にのぼり、中にはおよそ28万円(3万5000ランド)で販売されたものもあるほどだ。その売り上げは動物福祉の資金調達にも役立っている。
ちなみにこの団体で画を描く動物はバーンクシー氏で2代目なんだそう。
初代は2023年に亡くなった豚のピッグカッソ氏で、生前の彼の作品は国際的に評価されたこともあるという。
その跡を継ぐ形でデビューしたバーンクシー氏の絵は、きわめて前衛的で、アーティスティックなもの。
その名の由来が、正体不明のアーティストバンクシーであることはいうまでもないが、彼の実際の制作風景は下の動画からもうかがえる。
制作過程は主にオープンスタイルで、短時間で仕上げることが多そうだ。
その蹄(ひづめ)に残る色とりどりの絵の具をものともしないあたり、よほど集中してるのだろう。
発見者、有益な目撃情報に報奨金1000万円
現在ファーム・サンクチュアリSAでは、バーンクシー氏の発見および、安全な帰還につながる目撃情報に、およそ1000万円(120万ランド)もの報奨金を提供するという。
なお同氏のもっともわかりやすい特徴は前述のとおりの蹄の着色で「絵の具だらけの蹄の羊を見かけたら、すぐ連絡してください」と呼びかけている。
バーンクシーは単なる羊ではなく、金銭的な価値を超える象徴的な存在です。農場の動物に対する人々の認識に異議を唱え、動物たちにより思いやりをもつことを広める役目を担っています(ジョアン・レフソンさん)
何者かに連れ去られた可能性までささやかれている状況だが、温厚なわりに警戒心が強いといわれる羊のバーンクシー氏をさらうというのはそう簡単ではない気もする。
おいしい草と引き換えに専属アーティストの契約をひそかに結んで移籍したとか、クリエイティブなひらめきに行き詰まり、リフレッシュのためにひとりふらりと旅に出た、とかならまだいいのだが。
とにかく一刻も早くこの事件が解決し、また元気な姿を見せて欲しいものだ。
References: Community.designtaxi.com[https://community.designtaxi.com/topic/8918-baanksy-the-painting-sheep-goes-missing-animal-rescue-offering-reward-for-return/] / Agriland.co.uk[https://www.agriland.co.uk/farming-news/sheep-painting-prodigy-baanksy-reportedly-kidnapped/]
本記事は、海外の記事を基に、日本の読者向けに独自の視点で情報を再整理・編集しています。