
たとえ犬の抜け毛とは言え、ベランダから外に放り投げるのは好ましい行為ではないが、これが結果的に地域の鳥たちに恩恵をもたらすとしたらどうだろう?
アメリカ、インディアナ州で暮らすベン・シュラックさんは愛犬のゴールデンレトリバー「ランド」が換毛期を迎え、ベランダでブラッシングを行っていた。
大量に抜ける毛をベランダから放り投げたところ、思わぬ出来事が起きた。
犬のモフモフな毛はちょうど巣作りを迎える鳥たちにとって最高の材料だ。鳥たちはその毛を待ち望むようになり、最近では空中キャッチして持って帰ることもあるという。
犬の抜け毛をベランダから投げたところ鳥たちが回収
犬や猫は春と秋に毛が生え変わる。換毛期というやつだ。ランドはゴールデンレトリバーなので、ふさふさとした毛が自慢だが、春になるこの時期、冬毛が抜け始める。そこでシュラックさんはランドのブラッシングを定期的に行っていた。
ある日のこと、シュラックさんは、なんどブラッシングしても大量に抜けるランドの毛のかたまりを、ついベランダから外へ投げてしまった。
その毛の様子を眺めていたところ、近くに住む鳥が飛んできて、地面に落ちた毛をくわえて飛び去っていく姿を目にした。
この時期、鳥たちは繁殖を迎え、巣作りをする。ランドの毛は柔らかくて断熱性があり、巣作りに適した素材なのだ。
それならばと、シュラックさんは天気のいい日はベランダからランドの抜け毛を放り投げることにした。ここにいれば最適な巣の材料が集まることを学習した鳥たちは、必ず回収にやってくるようになった。
空中でキャッチする技も覚えた鳥
大変なランドのブラッシングも今ではシュラックさんにとって楽しい日課となった。鳥たちがやってきて回収する微笑ましい姿を見ることができるし、なにより愛犬の抜け毛が役に立つのだから。
鳥たちの中には、地面に落ちるのが待ちきれず、空中でキャッチする技を覚えた子もいる。地面に落ちた毛は争奪戦となるため、この方が確実だ。
ランドの毛は鳥たちに大人気なのだ。
ランドはブラッシングをされるのが気持ちよくて大好きだ。そしてその抜け毛は鳥たちに有効活用されている。ある意味犬と鳥の相互共存の形かもしれないね。
ちなみに一部の野鳥にとって、他の動物たちの毛は最高の巣作りの材料となる。巣の中を暖かく保つためなのはもちろんのこと、哺乳類の毛のニオイが捕食者を遠ざける効果もあるかもしれないという。
中には生きている動物から直接毛を引き抜いて持っていく鳥もいるほどだ。