
その男性は、散歩の途中で塀の丸い穴の柵から顔をのぞかせる犬と触れ合うことを楽しみにしていた。
ところがある日を境に、犬は顔を見せなくなった。
飼い主とは面識もなく、全くの他人だが、犬が気がかりでならなかったのだ。
「この家の犬と会うのが楽しみだったのですが、最近見かけなくなったので、元気にしているのかどうか気になって……」そう語る男性。
飼い主は犬が元気でいることを伝え、男性の前に犬を連れてきた。安心した様子で犬を撫でる男性。やさしい世界が広がっていく。
面識がないご近所の飼い犬との触れ合いを楽しみにしてた男性
アメリカの住宅街で暮らすテッドさんは自身も犬を飼っている。日課である犬の散歩の途中で、楽しみにしていることがあった。
ある家の通りに面した白い塀には格子付の丸い穴があるのだが、そこからジャーマン・シェパードが顔を出していて、撫でたりおやつをあげたりしながら触れ合っていたのだ。
しかしある日を境に、その姿が見えなくなった。数日に渡って前を通ったのだが、犬はいなかった。
犬になにかあったのか?心配になったテッドさんは思い切って家を訪ねることにした。
飼い主とは面識もない。
犬は無事であることを伝えられ、安心する男性
男性の姿とその様子はドアベルのカメラがすべて記録していた。映像には、やや緊張しながらインターホンを押すテッドさんの姿が映っていた。
こんにちは。この家の前を犬と一緒に散歩していて、ここにいるジャーマン・シェパードによく挨拶してたんです。でも最近見かけなくて、どうしているのかなと思って訪ねさせていただきました(テッドさん)
インターホン越しに飼い主は、「ああ、アリアですね。彼女は元気にしていますよ」とすぐに答えた。それを聞いたテッドさんは、ほっとしたように笑顔を見せる。
それが聞けてよかったです。無事ならそれだけで十分です!
テッドさんは、アリアがよく格子の中から顔を出していたことを懐かしそうに語った。「穴から顔を出してきて、よく撫でてました。とても賢い子でおやつをあげたりしてたんです」と話す。
飼い主は、思い切って声を掛けに来てくれるほど、テッドさんがアリアのことを気にかけてくれていたことに感動したという。
アリアの無事を知ったテッドさんは、心から安堵し、しみじみと語った。
「犬にはどんどん愛着がわいてくる。そして、別れのときの辛さもその分大きくなるんです」
その後、アリアを玄関先まで連れてきてテッドさんに会わせてくれた飼い主に彼は心からの感謝を伝えた。
「彼女を見せてくれて、本当にありがとうございます」
男性が近所の犬を思う気持ちに感動
飼い主は、動画のキャプションでこう綴っている。
うちの犬は門の前で座って、丸い穴から人間観察をするのが好きなんです。どうやらこのやさしい男性はよくアリアと遊んでくれていたらしく、最近見かけないからって様子を見に来てくれました
さらに、「アリアはよく格子の間から顔を出すので、まるで牢屋に入ってるみたいに見えるんです」と笑いながら説明する。
実際、通行人が「犬がはまって動けなくなっているのでは」と心配して家に知らせにくることもあったという。
だがそれはアリアの個性的な“くつろぎスタイル”で、彼女はただそこが好きだったのだ。多くの人がかまってくれるのもうれしかったみたいだ。
近所の犬好きな人々が常に自分の犬を気にかけてくれていることを知り、心が温かくなったという飼い主。
この動画を見た人たちは、テッドさんの行動に心を打たれ、「なんて素敵な人なんだ」「こういう人が近所にいたら安心」といったコメントが寄せられている。
見知らぬ人の家の玄関のベルを鳴らすのは勇気がいることだろう。
動物は人間に癒しをもたらすだけでなく、人と人をつなぐ架け橋にもなってくれる。思いやりを育む気持ちを育ててくれるし、まわりにやさしくあろうという気持ちを芽生えさせてくれる。
アリアは今日も、塀の穴から人々を眺めることで、人と人との縁をつないでくれているのかもしれない。