猫とカワウソが合体したみたい。「ジャガランディ」の魅力に迫る
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 顔は猫っぽいけど体つきはカワウソとかイタチっぽい不思議な見た目の動物がいる。まさにこれが自然の面白さだ。

その名を「ジャガランディ」と言う。

 ジャガランディは中南米に生息するネコ科の生き物で、家猫より少し大きい程度のサイズ感だが、身体が細長く足が短いのが特徴だ。

 そのため一見すると猫というよりカワウソっぽく見えてしまう。さらにジャガランディは猫には珍しく泳ぎも得意なため、本当にカワウソに間違えられることもあるそうだ。

イタチやカワウソにそっくり?不思議なネコ科ジャガランディ

 ジャガランティの一般的なサイズは、体長約65cm、尾長約45cm、体重約6kg。耳は短くて丸い。

 細長い体に短い脚、確かにこのまま猛スピードで川に飛び込んだりしたら、一瞬カワウソかと思ってしまいそうだ。

 実際に泳ぎが得意で、魚なども獲って食べるという。ネコ科には珍しく昼行性で木登りも得意だが、狩りは地上や水辺で行うことが多い。

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 ジャガランディの体毛には褐色系と黒系、その中間の黄褐色系があって、昔は黒と茶はそれぞれ違う種類だと思われていたらしい。

 そのため黒系がジャガランディ、褐色系にはアイラという違う名前がつけられていたが、後に同じ母親から毛色の違った子供が生まれたことから、同種であることがわかったんだそうだ。 

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実はピューマに近い種。チーターの仲間説も

 ジャガランディはその名前から、ジャガーの仲間だと思われがちだが、実はピューマに近い種なんだそう。

 また、最近ではチーターとも近縁ではないかという説が取り沙汰されている。

 ジャガランディやピューマの祖先は、800万年ほど前にベーリング陸橋を渡ってて北米大陸にやってきたと言われている。

 そんな彼らがチーターと近縁というのも不思議な気がするが、実はチーターに酷似した化石が北米で発見[https://www.sci.news/paleontology/miracinonyx-trumani-11656.html]されている。

 実はチーターの先祖は、一度アメリカ大陸に渡ってからジャガランディやピューマと分岐し、その後再びユーラシア大陸に戻っていったのでは?という説も出てきているのだ。

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 日本語ではジャガランディのほかに、「イタチネコ」「ヤガランデ」と呼ばれることもある。

 後者については、ジャガランディの語源とされる、グアラニー語(南米先住民族の言葉、パラグアイなどで使われている)の「yaguarundi」から来ていると思われる。

 ただ「ヤガランデ」といえば、ゲーマーにとってはなつかしのゲーム「電脳戦機バーチャロンシリーズ[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E8%84%B3%E6%88%A6%E6%A9%9F%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%AD%E3%83%B3]」に登場する幻獣戦機バーチャロイド「ヤガランデ[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%89%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A6%A7#%E3%83%A4%E3%82%AC%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%87]」のほうが有名かもしれない。なおその名もこのジャガランディにちなんでつけられたという。

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「最も研究されていないネコ科の動物」生息数減少の危機

 今のところジャガランディは絶滅危惧種のリストには入っていないものの、最近は開発により生息域が失われており、個体数の減少が懸念されている。

 警戒心が強く、捕獲が非常に難しいため、マーカーを使った追跡などはほとんど行われておらず、「最も研究されていないネコ科の動物」とも言われている。

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 彼らの体毛には斑点や縞といった特徴的な模様がないため、個体識別も困難で、ジャガランディの生息状況はいまだに把握しきれていないのだそうだ。

 そのためジャガランディの推定生息数は、研究者によって3万5000匹から23万匹と大きな差異がある。

 行動範囲が広く、ジャングルや草原、沼沢地など様々な環境にも適応できるのが強みだが、国際自然保護連合(IUCN)による評価が「軽度懸念」に納まっているため、保全活動への資金なども潤沢とは言えない状況らしい。

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 ジャガランディはもともと、アメリカのテキサス州でも生息していたが、1986年に目撃されたのを最後に姿を消してしまい、おそらくは絶滅したと考えられている。

 このまま彼らの暮らす環境の破壊が進めば、近いうちにレッドリストに掲載されるリスクも決して皆無ではないのだ。

 現在IUCNでは、ジャガランディに対する評価を更新する準備をしているそうだ。前回が「軽度懸念」になったのは単にテータ不足であったからで、次は「準絶滅危惧種」に指定される可能性もある。

 確実な保全活動を行うためにも、まずはその生態や生息地の把握が急務だと言えるだろう。

References: Outdooralabama[https://www.outdooralabama.com/carnivores/jaguarundi] / Iflscience[https://www.iflscience.com/cat-or-otter-the-jaguarundi-looks-like-both-79733] / Indiandefencereview[https://indiandefencereview.com/is-it-a-cat-jaguar-or-otter-meet-the-jaguarundi-a-wild-creature-that-defies-all-expectations/]

本記事は、海外の記事を基に、日本の読者向けに重要なポイントを抽出し、独自の視点で編集したものです。

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