
世界の富の半数は、億万長者と呼ばれる1%の富裕者層が所持していることが判明した。クレディ・スイス・グローバル・ウェルスが発表した最新調査によると、特にイギリスは今世紀に入って所得格差が拡大した唯一のG7諸国であった。
日本、フランス、ドイツ、カナダ、では所得格差が縮小し、アメリカとイタリアでは同レベルを維持したのに対し、イギリスでは1%の最富裕層での所得が上昇している。この結果、同国の超富裕層が独占する富は2000年における51.5%から54.1%に上昇したという。
NGO団体オックスファムで所得格差是正を担当するエマ・シーリー氏によれば、低所得層の人たちが金融危機のあおりを受けている一方で、富裕層の下にはこれまで以上の資産が流れ込んでいるそうだ。
世界的に資産を見れば、昨年は8.3%増加し、8京円近くにも達した。現在の世界の富は世界金融危機前と比べて20%増加しており、2008年の危機が最も深刻だった時と比べれば39%を越えている。しかし、その分配は増々不公平なものとなっており、成人1人当たりの富の中央値は2007年から14%低下の38万円であった。
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世界に占める総資産1億円以上層の割合(国別)
本レポートによれば、富の増加の大半は北アメリカとヨーロッパで起きたもので、世界の世帯財産に対してそれぞれ34.7%と32.4%を占めるまでになった。また2000年以降、世界の大富豪の数は164%増加の、3400万人に達しているが、その41%がアメリカ在住であった。こうしたことも富の一極集中を象徴しており、金融危機後の経済回復は富裕層にとって都合のよい形でなされたことを如実に物語っている。