
驚きの幅50cm!イタリアの狭い路地にもピタリとハマる最狭仕様。とにかく薄い電気自動車が廃車リサイクル工場で誕生した。
その名も”フラット・フィアット(Flat Fiat)”は、イタリアの自動車メーカー、フィアットの人気車種フィアット・パンダ[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%80]の改造車だ。
レトロおしゃれなアクアブルーも相まって、すぐさま話題をさらったこちらの車は、イタリアのアンドレア・マラッツィ氏が手がけたもので、現在「世界最狭車両」のギネス記録の申請も進めているそう。
最高速度15 km/hのミニマルスペックでありながら、超スリムな1人乗りEVとしてたちまち拡散。
カーマニアをもうならせるフラット・フィアットとユーザーの反応にせまってみよう。
1993年型フィアット パンダを幅50cmの1人乗りEVに改造
SNSで目下話題の”フラット・フィアット”は、イタリア北部ロンバルディア州クレモナ県の自治体バニョーロ・クレマスコにて、廃車リサイクル工場「Autodemolizione Marazzi」を経営するアンドレア・マラッツィ氏が手がけた改造車だ。
中古の1993年型フィアット・パンダを大胆改造し、幅わずか50cmの一人乗り電気自動車(EV)を作り出したという。
ヘッドライトは一つ。でも夜間走行にちゃんと役立つそう。後ろからだと車とは思えないビジュアルだが薄さが際立つ眺めでもある。
内部には一人分の運転席と小さなハンドルがあり、これで車を走らせることができる。
実際に走る様子はこちら。
オリジナル部品の99%を使い1年かけてフラット・フィアット完成
この薄さに勝てる車はまずなさそう。なにしろ2台の車の間や狭い道路にも収まるほど省スペースなのだから。
マラッツィ氏はおよそ1年かけてこの車を作り上げた。
自身の愛車フィアット・パンダ1993年モデルの「オリジナル部品の99%」を使い、切断、溶接、試作に至るまでほぼ手作業で完成させた。
デザインでこだわったのは、オリジナルのルーフ、ドア、スタイリングの特徴を極力そのまま残すこと。一方で、車体やフレーム、内部構造はほぼ一から自分で作り直した。
さらに完全なEVにも改造し、1人乗り用のシングルシートも作った。
オリジナルのタイヤ4輪までそのまま維持(ただしタイヤの間は非常に狭い)して、外装のほぼすべてをこの幅に収めることに成功。その結果こんなにユニークな車が誕生した。
最高速度15 km/hと低速もみごとな薄型
こうしてできた改造車フラット・フィアットのスペックは以下のとおり。残念ながらスピードは頑張っても最高15 km/hほど。また公道を走ることもできないそう。
全長:3.40 m
全高:1.45 m
車両重量:264 kg
駆動方式:電気モーター(フル電動)
最高速度:15 km/h
航続距離:約25 km(フル充電時)
座席数:1席(中央)
ヘッドライト:シングルランプ1基
外装カラー:アクアブルー
なお元のフィアット・パンダ1993年モデルは4名乗り。全幅は約1.5mだそう。見比べるとほんとに薄い。みごとぺしゃんこになった感じだ。
「世界一狭い車」のギネス記録に申請中
アンドレア・マラッツィ氏とチームは、目下”フラット・フィアット”を「世界一狭い車」としてギネス記録申請する計画を進めている。
確かに、これだけ薄いとガチで記録を塗り替えそう。当のマラッツィ氏もかなり自信があるようで、こんな風に語っている。
ついに世界一狭いクルマを作ったぞ!
すべてはこのスクラップヤードとぶっ飛んだアイデアから始まった。この1年は創造力と根性、それから日々の作業の連続だった
切断しては溶接し、失敗しては大笑いのくり返し。これまで誰も成し得なかった挑戦を追い求めた結果がこの1台さ!
「お手頃価格かも」「高速でコーナー攻めるとこ見たい!」の声
インパクトが半端ない”フラット・フィアット”はSNSでも大バズり。インスタグラムユーザーdicireluが2025年6月23日に投稿した動画も視聴数100万件を超えるなど、多くのユーザーから様々な声が集まった。
- ニューヨークの恐ろしく狭いアパートがそのまま走ってるようだ
- この車なら手が届くぐらいのお手ごろ価格になるかも
- こんな一人乗りの車が実在するとは。昔の俺に教えてやりたい
- クラッシュしたらそのまま棺桶
- 普通車は高くて無理だけどこれならきっと買える!
- バイクレーサーみたいに高速でコーナー攻めるとこ見たいわ~
- 全周何cm?
- すげー細い!
- サイズ感がすでにアートや
ここでふと思い出したけど、フィアット・パンダといえば、前に世界で最も車高が低い車にも魔界造されてたっけ。なんと懐が深い車なんだ。
都市部で注目。超小型1人用のEVの可能性
今回は実用というより趣味の域の車だが、狭い通りが網の目のように広がる都市部では、超コンパクトEVが駐車スペースの効率化や渋滞緩和に寄与しうる。
日本でも省スペースで1人乗りで小回りが利き、維持費も安価な小型EVが話題になったりしているし、その製造にも可能な限り、リサイクルパーツを活用すれば無駄もずいぶん抑えられ、環境負荷の軽減にも役立ちそう。
そうした意味で、狭さを狙ったミニEVは、次世代マイクロモビリティの一つとしてメジャーになるかもしれないな。
References: Designboom[https://www.designboom.com/technology/worlds-narrowest-fiat-panda-drives-fully-functional-single-seater-electric-car-06-27-2025/] / Laughingsquid[https://laughingsquid.com/flat-fiat-worlds-narrowest-car/]
本記事は、海外で報じられた情報を基に、日本の読者に理解しやすい形で編集・解説しています。