数世紀前から存在していた、自分はガラスでできていると信じ込み、割れてしまうことを極端に恐れる精神障害「ガラス妄想」

 精神分析医のアダム・フィリップスは、ガラス妄想は、同じ時代の社会と共鳴する力がかなり大きく、壊れやすいこと、透明性、個人の空間に関するさまざまな不安が、現代社会で生きる多くの人々の体験や心配ごとと直接関係しているという。

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 自分がガラスでできているという感覚は、ますます人があふれ、テクノロジーの進歩に孤立させられる、境界線のない共同体である社会との折り合い方を理解する上で、有効な方法かもしれない。

 『ガラスの足をもつ少女』の著者アリ・ショーは、ガラス妄想はわたしたちのほとんどが多かれ少なかれ体験する、社会不安の極端な結果ではないかと言う。社会でへまをしたり、なにかを破壊してしまう恐怖は、本当は社会的な屈辱の恐怖が誇張されたものだという。

 トロント大学の精神医学の歴史家エドワード・ショーター教授は、17世紀のヨーロッパでは、透明ガラスが比較的新しい素材だったことが、この障害を理解する鍵を握っていると言う。歴史を通して、創造力豊かな潜在意識が、こうした妄想を新しい素材や時代の技術進歩と結びつけてきたと主張する。

 19世紀には、セメント妄想なるものもあらわれた。ちょうどこの頃は新たな建築材料として、セメントが登場したころだ。最近の妄想は、CIAやその他の警備サービスがマイクロ送信機で、人々の考えをダウンロードしているとか、人の心が読めるといった誤まった思い込みがある。

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