
悪態をつく人は頭が悪く、語彙に乏しいというイメージがあるかもしれない。だが、専門家が明らかにしたところによれば、どうもそうではないらしい。悪態は知性の証かもしれないのだ。
『ワッツ・ザ・F:言語、脳、私たち自身について罵りが明らかにしてくれること(原題:What the F: What Swearing Reveals Our Language, Our Brains, and Ourselves)』の著者である、カリフォルニア大学サンディエゴ校のベンジャミン・ベルゲン(Benjamin Bergen)氏によれば、罵り言葉(スラング)について多くの人が誤解しているという。
口汚い罵り言葉をたくさん思いつく人ほど語彙が豊富で表現力が豊かであるという研究結果が明らかになった。
罵り言葉をたくさん思いつく人ほど言語能力が高い
2014年の研究では、頻繁に悪態をつく人はそうでない人に比べて語彙が豊富な傾向にあることが明らかになっていた。さらに『ランゲージ・サイエンシズ』誌に最近掲載された論文でも、不謹慎とされる言葉を自信満々で使う人物ほど、それ以外においても流暢な言語能力を示す傾向にあることが示唆された。
その実験では、18~22歳の49名の被験者に60秒間で思いつくだけの罵り言葉を言うように指示した。次に、今度は単語を動物の名前に置き換えて、同じことを行ってもらった。
すると罵り言葉をたくさん思いついた被験者ほど、動物の名前もたくさん思い浮かべられることが明らかとなった。このことは、罵り言葉が言葉の流暢さと正の相関関係にあることを示している。さらに罵り言葉を使う人は、微妙なニュアンスの違いを使い分け、表現力も豊かであったという。