
中世ヨーロッパでは、あの世から死者が戻ってくると広く信じられていた。
イングランドのノース・ヨークシャーには、ワラン・パーシーという小さな村があった。長さの違う2列の家並みが続き、教会や隣接する墓地もあった。しかし、16世紀にはこの村は消滅してしまった。
1960年代、考古学者によって村の発掘が行われると、12~14世紀のものと思われる遺体を埋めた奇妙な穴が見つかった。遺体はすべて焼かれたのちに解体されており、その人骨にはナイフの傷のようなものがある。
当時のイギリスでの埋葬は土葬が一般的であり遺体を火で焼くというのは大変珍しいことである。いったい何が起きていたというのだろう?
【死者のよみがえりを恐れて焼却後切断された可能性】
発見された人骨穴は家並みの一番はずれ、教会の敷地の外にあった。穴から発見された137の骨は少なくとも10人の人間のもので、年齢は2~3歳から50歳までばらばらだった。
これらの遺骨をどう考えるか、長年はっきりしたことは誰にもわからなかったが、ヒストリック・イングランド(歴史的建造物などの保存活動をするNGO)とサウサンプトン大学の考古学チームが新たな説を発表した。
これらは、死後よみがえらないように焼かれ、切断された遺体だというのだ。
【焼けた人骨にはナイフの傷跡が】
『Journal of Archaeological Science』に掲載された報告はこうだ。