
アメリカ・コネチカット州の森の方から、大声で鳴き叫ぶ声が住宅地にまで響きわたった。心配した住民が警察に通報した。
現場に駆け付けた警察官と動物管理官は、木の割れ目に挟まって出られなくなった小さなアライグマの子を発見。
アライグマの子はチームの連携により無事救出された。幸い怪我もなかったため、もとの住処の木の洞(うろ)にやさしく戻された。
住宅地に響き渡る大きな鳴き声
2025年6月、コネチカット州西部の町ベセルで、「森の中で動物が鳴き叫んでいるような声がする」との通報がベセル警察署に寄せられた。
現場に急行したのは、動物管理官のシャンリー氏と、アモン警官、イートン警官、デオリベイラ警官の4人のチームだ。
ベセル警察署は6月18日、Facebookにこのことをユーモアを交えて報告した。
警察官たちは予期せぬ事態を覚悟して現場に向かったところ、木の割れ目に挟まってしまった赤ちゃんアライグマを発見しました
まるで「なんてことしちまったんだ」と、人生でとても残念な選択をしてしまったかのような姿でした
無事救助に成功
アライグマの子の救出は簡単ではなかった。狭い隙間に挟まっており、なかなか引き出すことができない。
救出にはチームワークと、耳元で大声で鳴き叫ぶ声に負けない忍耐力が必要だったという。
赤ちゃんアライグマは無傷で木から引き出され、救助に成功した。
北アメリカ原産のアライグマは、木の洞(うろ)や岩の割れ目、空き家の屋根裏など閉鎖的で安全な場所を巣穴として選ぶことが一般的だ。
特に森の中に住むアライグマは、木の洞(うろ)をねぐらとして利用することが多く、アライグマの子が木の割れ目に入り込んだのは、もともとその木の近くに住んでいた可能性が高い。
警察官らは救助後、安全と思われる木の洞に戻した。
ベセル警察署は「警察の仕事は時にワイルドなものになります」と、ユーモアを交えながら、Facebookの投稿を締めくくった。
アメリカではアライグマが人間の居住区に進出し、ゴミ荒らしや作物被害が問題となっている。それでも、困っている個体がいる場合は、むやみに処分せず救助して自然に帰す対応が取られるのが一般的だ。
アライグマは外来種ではなく、もともとアメリカで暮らしてきた野生動物であり、都市部に生息域を広げたのも人間が生息域を奪ったことが一因とされる。
今回の救助も、そうした野生動物との共生を重視する姿勢が表れたものと言える。
ただし、アライグマを見かけても餌を与えたり、近づいたりしないよう、当局では注意を呼び掛けている。
餌をあげることでそこに住み着いてしまう可能性があり、野生動物なので病原菌を持っている場合もあるからだ。