危ない、逃げて!化学物質を放出し、仲間に危険を知らせる魚(カナダ研究)

Rankin1958 /CC BY-SA 3.0
 群れで行動する生物たちは、様々な方法で仲間に合図を送る。

 人間は言葉や仕草でコミュニケーションをとるが、それらを持たない生物は、ある種のシグナルを発することでコミュニケーションを可能とするのだ。


 野生の魚は化学物質を放出して、仲間に危険が迫っていることを知らせることがあるそうだ。
 
 この化学物質は「撹乱合図(disturbance cue)」と呼ばれるもので、捕食者などが接近したことを警告するシグナルである。 

 

 
【化学物質を放出し仲間に危険を伝える魚】

 魚が化学物質を放出することは以前から知られていた。『Journal of Animal Ecology』に掲載された研究が初めて明らかにしたのは、その使い途である。

 北米の湖に生息する コイ目のファットヘッドミノウを仲間の魚と一緒、見知らぬ魚と一緒、あるいは単独で水槽に入れて、捕食者による追跡をシミュレーションするという実験では、仲間からシグナルを受け取った魚には、いわゆる防衛・逃走反応が生じることがわかった。

 たとえば、じっと身じろぎしなくなったり、さっと逃げ出したり、一ヶ所にぎゅっと集まったりといった行動で、これらは魚が捕食者から身を守ろうとするときに見られるものだ。


 ところが、見知らぬ魚や単独の魚からの撹乱合図を受けても、特にそうした行動は見られなかった。

ファットヘッドミノウ
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Fathead minnows in my pond

【撹乱合図に使用される化学物質の正体は尿素】

 撹乱合図は、捕食者に追われたり、驚いたりストレスを受けたりしたときに自発的に出されるもので、その主な成分は尿に含まれる尿素だ。

 また魚がもっともシグナルを発するのは、仲間の魚がいる場合であることもわかった。見知らぬ魚がいたり、自分しかいないような状況では、あまり発しないのだ。

 「魚はシグナルを発して、近くにいる仲間に合図を送っているということですね」とサスカチュワン大学のモード・フェラーリ氏はコメントしている。

References:Fish under threat release chemicals to warn others of danger -- ScienceDaily

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