近年独特な作品で世間をにぎわせ、世界規模の物議をかもす正体不明のアーティストのバンクシー(関連記事)が、またもや意味ありげな作品を披露したというニュースがネットを巡っている。
なんとバンクシーが動画を通じて、ヴェネツィアをテーマにした興味深い油絵を公開したというのだ。
動画には今月からヴェネツィアで開かれている現代美術の展覧会、ビエンナーレ国際美術展に絡めたメッセージが添えられている。その絵画に込められた意図とは?
[動画を見る]Street artist in Venice
【現代美術のオリンピック。ヴェネツィアビエンナーレ】
今月11日から開催中のヴェネツィア・ビエンナーレは、2年に一度開催される現代美術の展覧会だ。
このイベントでは各国の見事な芸術作品が並ぶだけでなく、優れたアーティストなどに賞が贈られるためアート界のオリンピックとも称されている。
【展覧会に呼ばれなかったバンクシー、路上で絵画をゲリラ公開!?】
この時期、招待制のヴェネツィアビエンナーレに招かれなかった多くのアーティストが、会場に向かう人であふれる路上で絵を販売する。
そこにある画家が現れ、イーゼルを組み立てて油絵を並べ始めた。
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「Venice in Oil」と題された作品は9枚の絵が表され、パッと見は近代的なクルーズ船を描いたもののように見える。
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しかし手前にはヴェネツィアを象徴する風景が小さく描かれている。
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その風景を圧迫するような大きな船。これは何を表すのか?
絵に気づいた人々がざわめき始めるころ、警官がやってきて指示し始めた。どうやら無許可のため撤去を命じているようだ。
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運んできた絵をまとめてどこかに向かう画家。
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何かの予言にもとれる映像はインスタグラムでも公開中だ。
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この投稿にはバンクシーのものとみられるメッセージが添えらえている。
世界で最大かつ最も権威のあるアートイベントにもかかわらず、なぜか私は一度も招待されたことがない。
【無名時代を振り返るような展示】
「Venice in Oil」は、一つの絵をあえていくつかの額に分けたような油絵だ。
複数の絵をこのように展示する方法は、絵画の露店などでよくみられる。
今でははすっかり有名になったバンクシーも、かつては路上で絵をまとめて並べては観光客に絵を売っていた。
あえてこうしたスタイルで絵を展示したことにも意味があるのだろうか?
【別人のステンシルが話題になることも】
主にステンシルを使うバンクシーの作品は、本人によるものかどうかの見分けもつきにくく、先日も運河の壁にいつのまにかあったステンシルを多くのメディアが報じたという。
それはS.O.S.の旗を持つ移民の子どもの絵で、バンクシーの作品か否かと話題になった。
だが、別のイギリスのアーティストがインスタグラムや自身のサイトでこの絵をシェアし、自分のの作品だと証明したそうだ。
【移民問題への警鐘や美術展への皮肉?】
さて、今回の映像がバンクシーによるものだとすると、ヴェネツィアに迫る大きな船は何を意図するのか?
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一説には移民問題に揺れるイタリアの現状に向き合わず、美術の展覧会で盛り上がる世間を揶揄しているともいわれている。
一方、クルーズ船で押しかける観光客による治安悪化やインフラの設備への負担から、昨年に観光客の移動規制措置を発表したヴェネツィアを表している可能性もある。
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この動画の画家が本人かどうかも定かではないが、アートのオリンピックの出場権が無くとも、世界中がバンクシーに注目しているのは間違いない。
References:thisiscolossal / youtubeなど /written by D/ edited by parumo
記事全文はこちら:バンクシーがイタリアで開催中のヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展を皮肉った作品を動画で公開 http://karapaia.com/archives/52274706.html