
SabdiZ/iStock
インストとは、インストゥルメンタルの略で、歌声の入っていない、楽器だけで演奏される楽曲や演奏のことだ。
かねてから、知的な人ほど楽器の演奏に惹かれるという仮説があったが、このほど、オックスフォード大学がその仮説の検証を行ったところ、実際に知的な人ほどインストを好むことがわかったという。
【知的な人ほどインスト(器楽曲)を好むという仮説】
イギリスの心理学者サトシ・カナザワの「サバンナ-IQ相互作用仮説」によると、知性は新しい物事や見慣れぬ物事に対処するために進化したのだという。
そうした進化した知性の良し悪しは、大昔に人間が暮らしていた環境(サバンナ)になかったものを、どれだけ理解できるかによって判断することができる。
これを音楽に当てはめると、サバンナに声はあっても楽器はなかったはずだ。よって、知的な人ほど楽器の演奏に惹かれるという仮説が成り立つ。
[画像を見る]
Pexels / Pixabay
【仮説を検証した結果、知能テストの高得点者はインスト好きなことが判明】
イギリス・オックスフォード・ブルックス大学のエレナ・ラセブスカ氏は、この仮説を確かめるために、クロアチア人の高校生467名を対象に調査をしてみた。
すると確かに知能テストの得点が高い学生ほど、インスト曲(クラシック、アンビエント/チルアウト・エレクトロニカ、ビッグバンドジャズなど)を好んでいることが判明した。
なお、これが当てはまるのはあくまでインスト曲の好みについてだけだ。
【声楽曲の好みと知能の関連性はなし】
確かに知能テストのスコアが高い人は、主にインストで構成された曲を好む傾向にあったが、声楽曲(ボーカル付き曲)の好みに対する知能の差は見られなかったという。
また調査からは、音楽の楽しみ方と好みのジャンルにも関係があることもわかった。
たとえば、曲の構成を分析したり、演奏技法に注目するような認知的な楽しみ方している人は、よりインスト曲を好む傾向にあった。
[画像を見る]
Pixabay
【音楽の好みは知性だけでなく様々な要因によって形成される】
なお音楽の好みを左右するのは知性だけではない。ほかにも性格や性別、年齢、教育レベル、世帯所得など、さまざまな要因によって影響されるものだ。
インスト曲を聴くから絶対に頭がいいとか、反対に聴かない人はおしなべて頭が悪いとかそういうことではない。だから、無理やり好きになろうとしたり、無理やり聴く必要もない。
色々な音楽を聴き、自分の今の状態にベストな曲を模索していくことも脳の認知に役立つはずだ。最終的には自分の魂が共鳴する音楽を胸張って聴けばいいと思うんだ。
なおラセブスカ氏は今後、音楽の好みが環境でどう変化するか、また社会的経験が音楽の好みにどんな影響をもたらすのかを紐解いてみたいと思っているそうだ。
この研究結果は『Evolutionary Behavioral Sciences』に掲載された。
References:More intelligent individuals are more likely to enjoy instrumental music, study finds/ written by hiroching / edited by parumo
記事全文はこちら:知的な人ほど歌のない器楽曲(インスト)を好むという研究結果(英研究) http://karapaia.com/archives/52274716.html