フィリピンで学校を卒業する学生全員に10本の植樹を義務化する新法が導入される

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 近年、アジア全域では地球規模の環境問題を改善するための、様々な取り組みが注目を集めている。

 タイやベトナムのスーパーでは、使い捨てのビニール袋の代わりにバナナの葉を使用するなど、環境に配慮した活動が記憶に新しい(関連記事)。


 この活動はフィリピンでも行われているが、そのフィリピンでは今回、更に環境保護のための新しい法律が可決された。

 フィリピンにある全ての学校を卒業する学生たちを対象にしたもので、卒業記念として少なくとも1人10本の木を植えるというものだ。

 卒業を迎える学生たちの植樹の義務化は、今後のフィリピンの新たな伝統として築き上げられていくことになりそうだ。
【卒業記念に1人10本の植樹】

 この法案は、カヴィテ州マグダロー代表のゲイ・アレジャノ議員によって新しい環境対策として提案され、5月15日に衆議院で可決した。法案の説明文にはアレジャノ議員によるこのような記述がある。

フィリピンの義務教育課程は1-6-6制で、幼稚園が1年、小学校が6年、高校が6年の13年だ。
毎年、1200万人を超える学生が小学校を、約500万人が高校を、そして約50万人の大学生が卒業してを迎える。

 この新法が適切に実行されれば、毎年少なくとも1億7,500万本の新しい木が、フィリピンに植えられる。順調に進めば、一世代の間に5,250億本もの植樹が可能となる。

 この新法は、環境への直接的なプラス効果になることに加えて、植樹に携わった若者たちが世代を超えて環境を配慮するようになり、長期にわたって更に広範囲で環境活動を広げてくれるようになることが望まれているという。

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【植樹についての様々な取り決め】

 木を植えるといっても、もちろん様々な配慮が必要だ。植樹対象の優先地域としては、森林地帯やマングローブ、保護地域や先祖代々の領土、市民及び軍の保留地、都市部、未活動で放棄された鉱山地などが挙げられている。


 また、場所だけでなく地形や気候を確認し、土着の固有種の植栽が優先される必要がある。

 しかしいくら義務化されたとはいえ、本当に卒業生たち全員が植樹活動を行うのだろうか。中には参加しない者も現れるのではないだろうか。

 それをしっかりと管理するのが、教育省と高等教育委員会だ。

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【全ての機関が環境保護活動をバックアップ】

 学生たちの植樹活動にあたり、教育省と高等教育委員会が窓口の管理機関となるが、環境天然資源省(DENR)や農業省、農地改革省および先住民族委員会や他の政府機関といった複数の機関との協力で、新法は実行される。

 これらの機関は、苗床の開設や生産と用地の準備、監視と評価、そして技術支援と普及サービスを担当するだけでなく、安全性や防火設備、交通手段、医療施設等の提供も義務付けられているそうだ。


 この新法により、木の生存率がたとえ10%であったとしても、この先何十億という木々がフィリピンに植えられることになる。

 少しずつではあるが、世界各地の環境に対する取り組みが、よりより未来へとつながっていくのかもしれない。

References:standard / vice / written by Scarlet / edited by parumo

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