緑色のハチドリかな。と思ったら植物だった!ハチドリそっくりに見えるオーストラリアの花「グリーン・フラワーバード」

reddit/OctopusPrime
 先日、海外掲示板Redditでハチドリにそっくりな花の写真が投稿され、ユーザーらの興味を大いにそそった。ハチドリはとても小さく、羽をはばたかせながら花の蜜を吸う愛くるしい鳥だ。


 その花の幹の部分はくちばしや顔に見え、黄緑色の花びらはまさに花の蜜を吸うハチドリそのもの。実はこの花、ハチドリが生息しない北オーストラリアに育つマメ科の植物だという。

 果たして、花が適応的進化を遂げたのか、もしくは単なる錯覚でハチドリに見えるのか?スレッド上ではRedditユーザーらによる討論が繰り広げられた。
【この花は「グリーンフラワーバード」と呼ばれている植物】

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 ハチドリに似ているこの小さな花について、Redditユーザーらの間で「生息地は?」「なぜ花が鳥のような形に?」などといった疑問が寄せられ、スレッドはたちまち議論の場と化した。

 そんな中、花の進化を研究しているという人物がコメント。この花は、北オーストラリアに生息しているマメ科の植物で、Crotalaria cunninghamiiで、「グリーンフラワーバード(green flowerbird)」または「リーガルフラワーバード(regal flowerbird)」とも呼ばれており、砂地によく育ち、砂丘やビーチ沿い、ノーザンテリトリーのモルガ地域に生息していることが判明した。


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 この花の形がハチドリに似ているのは、そのユニークな構造ゆえだ。1つの花には5つの花弁がついているが、上部は特に大きくそれぞれの花びらが不規則に重なりあっている。

 とはいえ、写真を見るとわかるが、この花は特定のアングルのみ、つまり横から見た時だけハチドリに見える。

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Cressflower/wikimedia
 この花の存在について、スレッド上では次のような疑問が飛び交った。

・この花は「ベイツ型擬態」か?ミツバチの受粉を避けるためにこのような形になったのか?同じハチドリをおびき寄せるために進化したものなのか?

・この花は、本来そこに存在しないにもかかわらず、知ったパターンを心に思い浮かべる心理現象「パレイドリア」を観察者に引き起こしているのか。

・この花を見た観察者が、単なる見かけ上の類似物、シュミラクラ現象を経験しているだけなのか。


【なぜハチドリに似ているの?】

 ほとんどのユーザーが、鳥に似たこの花の形は適応的進化の発達ではないかとコメントする中で、再び花の進化を研究しているユーザーがこのように指摘した。

人間のために、花が鳥のように見せるという事実は適応的な進化とは呼べない。植物が、人間の目にだけ自分を鳥のように映るように見せかけても、何のメリットもないからだ。

花が鳥のように見えるのは、花が積極的にそう見せようとしているからではなく、人間が花の中に鳥の形を識別しているというだけのことだ。

またオーストラリアにはハチドリは生息していない。鳥を天敵とするミツバチにはこの花が鳥に見えることはなく、鳥も視覚が鋭く頭が良いためにこの花を鳥と間違えることはない

 その昔、この花は目の感染症の治療薬としてアボリジニの人々に使用されていたようだが、先住民たちが鳥に似ていることを理由にしてこの花を繁殖させ、観賞用園芸として取り扱っていたという証拠はないそうだ。


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indie1/Wikimedia Commons
 結局のところ、人間以外の動物は花と鳥を間違える可能性はほとんどなく、単に人間から見た花の形が鳥に似ていたというだけで、ただの錯覚に似たシュミラクラ現象の可能性が最も高い。つまりは、トリックアートを見た時の経験と同じようなものというわけだ。

 にしてもハチドリそっくりだよね。こんな花を見かけたらうれしくなっちゃうな。ハチドリ好きとしては。

・鳥類最小級だが美しさは最上級、ハチドリの美しさを堪能しよう! : カラパイア
 
References:Redditなど / written by Scarlet / edited by parumo

記事全文はこちら:緑色のハチドリかな。
と思ったら植物だった!ハチドリそっくりに見えるオーストラリアの花「グリーン・フラワーバード」
http://karapaia.com/archives/52276103.html