見せられて宇宙。オリオン星雲を旅した気分になれるロマンと感動の動画


 決まりきった日常を離れて旅に出たい。それも、うんと遠くへ…。


 そう思ってはみても、旅になど、なかなか簡単には出られない。先立つものも時間も必要なのだ。結局のところ、どこかの国の、どこかの街の、どこかの浜辺の、動画を眺める「インターネットの中の旅」ということになる。

 それならばいっそ、リアルでは絶対に辿り着けない遠くへ行ってみようじゃないか。そうだな、例えば、メシエ42なんてのはどうだろう?またの名を、オリオン大星雲だ。

 では、旅立とう。
1,350光年の彼方、オリオン大星雲の美しい動画の中へ。
[動画を見る]
Visible and Infrared Visualization of the Orion Nebula

【オリオン星雲の旅】

 これがオリオン大星雲だ。地球から見ると、オリオン座のベルトの三ツ星付近にあり、肉眼でも確認できる。

 中へ入っていくと、輝くガスの中に、無数の星が散っている。

[画像を見る]

 雲状の部分は水素ガスやチリから構成されており、これらが互いの重力で引かれ合い、収縮して温度が上がると、核融合が起こって恒星となるのだ。

 オリオン大星雲は、このように新しい星を生み出す「星の揺りかご」なのである。


[画像を見る]

【宇宙望遠鏡からのデータに基く動画】

 冒頭の動画では少し短いな、と思った方は、こちらの動画をご覧あれ。

[動画を見る]
Flight Through Orion Nebula in Visible and Infrared Light

 こちらは、天の川銀河系の全景から始まり、オリオン大星雲に焦点を当てていく。

 これらの動画は、NASAの「Universe of Learning (学びの宇宙)」プログラムによるものだ。天文学者たちと、視覚化の専門家たちによる共同作業によって作成された。

[画像を見る]

 動画の元となっているのは、ハッブル宇宙望遠鏡から得られた可視光線のデータと、スピッツァー宇宙望遠鏡から得られた赤外線のデータだ。この2種類のデータを組み合わせて、まずは2次元、そして3次元のモデルを創っていくのである。


[画像を見る]
左:可視光線/ハッブル宇宙望遠鏡 右:赤外線/スピッツァー宇宙望遠鏡

【可視光線による視界と赤外線による視界を行ったり来たり】

 さて、動画の中では突然風景が変わったように見える部分が何ヶ所かある。しかし、旅の途中を端折ったわけではない。画像に映し出される光線の波長が変わっているだけなのだ。

 ハッブル宇宙望遠鏡の運用を行っている宇宙望遠鏡科学研究所は、こう説明している。

 新星形成領域にカメラが入り込むにつれ、視界は可視光線領域と赤外線領域を行き来する。

 ガスによって「地形」が形づくられている。
それを、高エネルギー放射線と、中心の星団に存在する多数の高温の星から吹いてくる強い恒星風が輝かせ、そして切り分けるのだ。

[画像を見る]

 一般的に、赤外線による観察では、より低温のガスと、星雲のより深いレイヤーが見える。これらは、可視光線によって観測される範囲の延長上にあるのだ。

 さらに、赤外線による観測は、発している光の波長が長く、本来は微かにしか見えない星を目立たせてくれる効果もある。

このように、この動画は、多重波長による宇宙観測の結果もたらされた、対照的な世界を描き出してくれるのだ。

[画像を見る]

 なので、もし、科学技術の急速な発達によって我々がオリオン星雲に到達したとしても、だ。
この動画のような光景は、人間の目では見えないのである。鳥や虫ならあるいは、違った光景が見えるのかもしれないが。

・関連記事:こんなに違う。人間の見る世界と動物の見る世界。5種の動物と人間の見え方の違いが分かる比較写真

References: Geek.com / HubbleSite / JAXA 宇宙情報センター など / written by K.Y.K. / edited by parumo

記事全文はこちら:見せられて宇宙。オリオン星雲を旅した気分になれるロマンと感動の動画 http://karapaia.com/archives/52276567.html