世界トップクラスの自転車競技選手が自身の脚の写真を公開。人体解剖図のような象徴的なふくらはぎに隠された真実


 鍛えられた体を極限まで使用し力の限りを尽くすのがスポーツ選手だ。渾身の力で彼らが挑む勝負には、類まれな技能と努力を重ねてきた自信が満ち溢れ、見る者を感動させる。


 しかし、栄光の影に襲いかかるプレッシャーは強烈なものだ。彼らは肉体も精神も常に追い込んでいかなければならないのだ。

 過去に数々のレースで常に上位の成績をおさめ、幾度の優勝経験もあるスロベニア出身の自転車競技選手が、このほどインスタグラムで自身の脚の写真を投稿した。

 木の枝のような細い脚と極端に発達した筋肉。人体解剖学の標本のような衝撃的な写真だが、そこには彼のこれまでな壮絶な苦悩と前向きな努力が隠されていた。
【世界トップクラスの自転車競技選手の印象的な脚】

 FIFAワールドカップ、オリンピックと並んで世界3大スポーツイベントの1つと言われ、自転車競技の中でも最高峰とされる「ツール・ド・フランス(Tour de France)」でトップ10に入るほどの実力を持ち、数々のレースで優秀な成績を残したヤネス・ブライコヴィッチ選手は、9月29日、自身のインスタグラムに脚の写真を投稿した。


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 色や形を見ても、それがふくらはぎとは思えないほど筋肉が緊張し、静脈が木の瘤のように隆々と盛り上がっている。

 インパクトの大きな写真に反して、「今はただ頑張るのみ」というシンプルな言葉を綴っているだけのブライコヴィッチさん。

 しかしその言葉の奥には、乗り越えなければならなかった壮絶な苦悩や葛藤が存在していたことが、今年の8月に自身が投稿したブログの中で明かされている。

【摂食障害を患い、栄養補助食品によるドーピング疑惑で出場停止に】

 ブライコヴィッチさんは、去年の7月にドーピング検査で薬物に対する陽性反応が出たことから、10か月間にわたりレースへの出場を禁じられた。

 選手にとって最も辛い試練を宣告されたブライコヴィッチさんは、今年の8月、ブログで長期にわたる過酷な過食症との闘いを明かした。

 『スケルトンズ・イン・ザ・クローゼット(Skeletons in the closet)』というタイトルで綴られたそのブログには、当時のブライコヴィッチさんの心の葛藤がこのように記されてあった。


気付いた時には摂食障害に陥っていて、自分でコントロールできないところまで来ていましたが、誰にも助けを求めず、長い間過食症に苦しんでいました。

でも、(去年)7月の検査で陽性反応が出て、全てをUCI(国際自転車競技連合)に打ち明けました。

当時、私は栄養補助食品としてサプリメントのみを摂取していました。それだけが唯一口にできるものだったからです。

ですが、そのサプリメントは汚染されていました。ドーピング検査で、メチルヘキサンアミンという交感神経作動薬が含まれていることがわかったのです。


レース出場停止を言い渡されてからは、自転車に乗る度に泣かない日はありませんでした。私が心から愛し、一生を捧げた自転車競技を奪われて、相当落ち込み、全てが闇に包まれたように感じて、ヤケになりました。

でもそれは、ある意味人生のいい転機となりました。私は救いを見つけ、今は順調です。自身も取り戻し、自分を愛せるようにもなりました。他人を愛するためには、まず自分を愛す必要があることも学びました。

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【転んでも起き上がることができれば、敗者ではない】

 実力ある自転車競技選手として過去に名声を手にしていただけに、ブライコヴィッチさんの薬物反応によるレース出場停止事件は、当時世間から多くの批判が寄せられる結果となったようだ。

 しかし、ブライコヴィッチさんはレースに出場できなかった期間に、自転車競技が自分にとってかけがえのないものだと気付いたことや、再びレースをする決意を持っていることなどをブログに綴った。
 
 自身の行動や感情を赤裸々に告白したブログの中で、ブライコヴィッチさんはこのようにも話している。

他人が、私の人生のことや生き方をとやかく言っても気にしていないし、否定的なコメントにも腹は立ちません。

完璧な人など存在しません。

転んでも、起き上がることができれば、敗者ではないのです。


これが、私がレースを続けていきたい理由です。レースは私自身であり、切っても切れない関係です。

いつか将来、レースを辞める日が来るでしょうが、今はまだその時ではないと思っています。

 インスタグラムに投稿された衝撃的な脚の写真と短いメッセージは、全身全霊でレースに挑んだ彼の思いが十分に伝わった1枚といえるだろう。

【困難を乗り越え、全身全霊でレースに取り組む】

 ブライコヴィッチさんは、出場停止期間中は自分と闘いながら、レースの復帰を待ち望んでいた。

 そして、今年初めにクロアチアで開催されたThe Tour of Croatiaとして知られる「CROレース2019」で見事復帰を果たしたのだ。


 以下の写真(脚の画像は二枚目)は10月7日に投稿されたものである。

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 摂食障害を乗り越え、今年から再び全力で走るブライコヴィッチさん。復帰を果たしたブライコヴィッチさんの今後に、期待を寄せるファンもきっと多いに違いない。

References:LADBibleなど / written by Scarlet / edited by parumo

記事全文はこちら:世界トップクラスの自転車競技選手が自身の脚の写真を公開。人体解剖図のような象徴的なふくらはぎに隠された真実 http://karapaia.com/archives/52283643.html