豆から卵。緑豆を使った植物由来の液体卵「JUST Egg」は味も栄養面もニワトリの卵レベル(アメリカ)


 近年、次々と登場する肉や魚の代替品には、ヴィーガン(完全菜食主義者)やベジタリアン(菜食主義者)だけでなく、普段肉を口にする消費者たちからも大きな関心が寄せられている。

 これら植物由来の製品は、健康に良いという利点に加えて、大きな環境保全にも繋がり、今やそのブームは加速している。

 そんな中、植物性製品を作るアメリカのサンフランシスコのスタートアップ企業「JUST」が、鶏卵に代わって卵の代替品を製造・販売し、話題になっている。
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Making a Vegan Omelette using JUST Egg

【緑豆(リョクトウ)をベースにした植物由来の卵】

 Hampton Creek(ハンプトン・クリーク)という社名で、植物たんぱく質をベースとした「MAYO」というマヨネーズの代替品を開発・販売したスタートアップ企業は、社名をJUSTに変更してからも、様々な卵代替製品を開発してきた。

 その中でも特に話題になっているのが、遺伝子組み換えフリーの緑豆(リョクトウ)を原料とした植物由来の卵「JUST Egg」だ。

 日本では、緑豆は、主にもやしの原料(種子)として利用されている。


 これまで、卵については各企業が代替品への様々な試みを行ってきたが、味や栄養面の問題をじゅうぶんクリアできなかった。

 しかし、JUST Eggは2017年12月にサンフランシスコのレストランに登場して以来、鶏卵の代替品としてかなりのクオリティが評価されているという。

【鶏卵と同様の調理役割を果たせる液状の卵る】

 液体状で容器の中に入っているこの商品は、見た目こそまるでスムージーのようだが、調理すると鶏卵で作るスクランブルエッグやオムレツと大差ないほど、卵としての標準レベルを軽くクリアしている。


 JUST Eggの調理法は幅広く、ハンバーグやホットケーキ生地などに使用することも可能な他、フレンチトーストのように厚く調理することもできる。

 要冷蔵で保存期間が短いため、購入後は早めの使用が勧められるが、なんといってもJUST Eggの利点は、通常の鶏卵と同じだけのたんぱく質を含む一方でコレステロール含有がゼロということだ。


 JUST Eggは、今や市場で次第に人気を高め、卵を食べないヴィーガンにとっての画期的なチャレンジになっただけでなく、普段卵を食べる人からも大きな注目を集める結果になった。



【目指すは、健康に食べられるものが簡単に手に入るフードシステム】

 これまでは、「健康にいいとされる代替品は、価格は高いが味は従来からかけ離れておりイマイチ」という概念が定着していた。しかし、それは近年確実に変わりつつある。

 JUSTは、2019年8月の時点で、JUST Eggの売り上げが1000万個相当に達したことを誇りに思うと述べており、企業側のホームページでも次のように説いている。

植物由来の製品を口にすることは、3億6100万ガロン(13億6700万リットル)以上の水と146万kgの温室効果ガスの排出を回避でき、250万平方メートルの土地の節約になるだけでなく、鶏卵を使わないことで動物愛護にも繋がります。



ヴィーガンだから、気候変動の激しい環境を考慮しているから、もしくは単に興味があるから、といった動機に関係なく簡単に食べられるこの製品を是非トライしてみてください。

私たちには長い道のりがあり、そこに辿り着くまでに更に多くの努力が必要です。当社が全ての解決策になるわけではありませんが、私たちの地球のためにより公正な食物システムを構築していくことを目的としています。

そしてそれは、朝食から始まるのです。


 アジア原産の緑豆の輸送コストや加工コストを考慮すると、どうしても鶏卵の値段よりも販売価格はあがる。

 しかし、従来の動物源よりも水の使用量が98%減、二酸化炭素排出量が93%減、土地利用が86%減とあれば、大きな環境保全に繋がることは間違いない。

 この先、コスト低減を目標としながら、地球に優しく健康に良い、そして従来の味を損なわない植物由来の製品を開発・提供していくことに尽力するJUSTのチャレンジは、今始まったばかりだ。

References:Thrillistなど / written by Scarlet / edited by parumo

記事全文はこちら:豆から卵。緑豆を使った植物由来の液体卵「JUST Egg」は味も栄養面もニワトリの卵レベル(アメリカ) http://karapaia.com/archives/52283706.html
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