ここから、この事件がさらに謎めいていくことになる。
男性の服からはタグ類がすべて取り去られていて、身元を証明するものは一切身に着けていなかった。歯科の記録も男性と一致するものはまったく見つからなかった。
男性が最後に食べてものはミートパイだったことがわかった。検死官は個人的には毒が盛られたのではないかと思ったが、ミートパイを介してではないとしている。
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発見当時、外傷は見当たらなかったソマートン・マンの遺体
【審問検死と新たな発見】
1949年1月4日、アデレード鉄道駅の職員が、11月末からあずけられていたままになっていたラベルがはがされたスーツケースを発見した。
中には、スリッパ、部屋着、短くして研いであるバターナイフ、船員が使うようなステンシル用刷毛、アメリカで購入したと思われる外套が入っていた。
よくよく調べると、中にあったベストに"キーン"という名前が入っていたが、衣類からタグを取り去った者は、遺体がキーンではないことがわかっていたため、キーンの名はそのままにしたのではないかと警察は考えた。
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デレード駅で見つかったスーツケースを調べる捜査員
手紙や身元をできる書類の類は一切なかった。さらに遺体の体には、いくつか通常とは違う点が見つかった。