ラグビーの稲垣選手もそう?気難しい表情を作ると認知パフォーマンスが向上することが明らかに(米研究)


 眉根を寄せ、目はギロリと何かをを睨み付けているかのようで、口はきりっと結ぶ。苦々しいこの表情これはいわゆる「しかめっ面」と呼ばれるものだ。


 真剣に何かに集中している時、人は知らず知らずのうちにこのような気難しい表情になるが、それには意味があるという。

 気難しい表情を作っている時は、認知パフォーマンスが20パーセント向上するのだという。意図的にこの表情を作っても同様の効果が得られるそうだ。
 
 日本ラグビー代表の稲垣啓太選手は、笑わない男と呼ばれているが、もしかしたら彼は無意識に認知パフォーマンスを向上させていたのかもしれない。

【気難しい顔で話題を呼んだオリンピック水泳選手】

 2016年、リオデジャネイロ・オリンピック水泳の金メダリスト、マイケル・フェルプス選手がウォーミングアップ中に見せた集中しているときのしかめっ面が大いに話題になったことがある。

 NBCのインタビューでそのときのことを質問された彼は、「ゾーンに入っていたんだ」と答えている。
きっと彼は自分がそんな表情をしていることなど気にもしておらず、ただ試合で勝利するイメージだけを見つめていたのだろう。

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PhelpsFace | Michael Phelps Gives Death Stare to Olympic Opponent

【気難しい顔がパフォーマンスを向上させる】

 『Stress & Health』(10月15日付)に掲載されたアメリカ・テネシー大学の研究グループの実験では、参加者にフェルプスが試合で見せた「気難しい顔」を作ってもらい、その上でふたつの課題に挑戦してもらった。

 3.8~5.5度の冷たい氷水に限界まで腕を入れておくというチャレンジと、わずか5分間で100ピースのパズルを完成させるというチャレンジだ。

 その結果、氷水に腕を突っ込むチャレンジではそれほど違いはなかったが、パズルの速解きチャレンジでは大きな変化が生じたという。

 気難しい顔を作って課題に挑んだグループは、そうでないグループよりも平均4.13ピース多くパズルを完成させていたのだ。また勝負顔グループは、大急ぎでパズルを完成させなければならないというストレスからの回復も早かった。


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【感情は表情を作るが、表情も感情を作る】

 この研究のように表情が感情やパフォーマンスに影響するという説のことを「表情フィードバック仮説」といい、関連する研究はほかにいくつもある。

 たとえば2010年の研究によれば、しかめっ面をするとエクササイズが楽に感じられるようになるそうだ。さらに2019年の研究では、笑顔を浮かべるとハッピーな気分になり、しかめっ面は怒りっぽくさせる効果があると述べられている。

 その一方で、ドイツの心理学者フリッツ・ストラックは、ペンを口にくわえて笑顔に似た表情を作ると幸せな気分になることを発見し、さらにその後、その自らの発見が嘘であることを発見した功績を讃えられ、2019年のイグ・ノーベル賞に輝いた。

 気難しい表情というと日本列島を大いに沸かせた日本代表ラグビー選手、稲垣啓太選手を思い出してしまうのだが、彼の精悍なプレイは、表情も影響していた可能性もなきにしもあらずかもしれない。

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