SFで見たやつ来た!視界に情報を表示できる世界初のARコンタクトレンズが公開される(アメリカ)

Mojo Vision
 小さなコンタクトレンズの中には、1インチ(2.54cm)あたり14Kの超小型LEDディスプレイ、ワイヤレス通信、イメージセンサー、モーションセンターといったハイテク装置をギュッと詰め込まれている。

 網膜にディスプレイを映し出すことで様々なメニューが視界に表示され、そこに視線を合わせることで拡張現実(AR)を楽しむことができる。
そんなSFで見たことあるような未来型のデバイスが誕生したようだ。

 10年にわたる開発の末、1月16日(現地時間)に発表されたそのARコンタクトレンズの名は「モジョ・レンズ(Mojo Lense)」という。 

【リアルタイムで輪郭を検出し、形を補強】

 開発したのは米カリフォルニア州のスタートアップ「モジョ・ヴィジョン(Mojo Vision)」で、製品とマーケティングを担当する上級副社長のスティーブ・シンクレア氏によると、最初のモジョ・レンズは視力が悪い人向けになるという。

 リアルタイムで物体の輪郭を検出し、はっきりとした線でそれを補強することで、視力を補ってくれるのだ。

 CES 2020で展示されたプロトタイプは、薄暗い部屋の中にある物体の形を明るい緑色の線で強調してくれた、とIEE Spectrumで報告されている。

 人の顔まで強調してくれるらしく、とびきり緻密なわけではないが、真顔や笑顔といった表情の区別も十分にできるそうだ。


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Mojo Vision is developing AR contact lenses

【将来的には視界に情報を表示し様々なアプリの操作が可能に】

 将来的にはズーム機能やアイトラッキング機能、外部デバイスによるアプリ操作機能などの実装が予定されている。

 レンズを装着し、視界に表示されたメニューに視線を合わせることで選択し、音楽プレーヤーなどを起動することができるという。切るのも視線で行う。

 また第一世代はワイヤレスで通電されているが、いずれは電力供給、センサー類のデータ処理、ディスプレイへの情報送信などの諸機能は、小型の外部パックが担うようになるようだ。

【なぜメガネ型ではなくコンタクト型なのか?】

 なぜコンタクトレンズなのか?メガネ型のスマートデバイスだと周囲の人たちが違和感を感じるうえに、視野を狭めてしまうことからコンタクトレンズ型になったとのこと。

 周りの人には普通のコンタクトにしか見えないので、モジョ・ヴィジョンはその技術を「インビジブル・コンピューティング」と呼んでいる。


誰も(モジョ・ヴィジョンを)着用しているなんて気づかないでしょう。だから、できるだけ分かりにくいよう、目だけで操作できるようにしたいと思っています

 と話すシンクレア氏によれば、目を閉じていてもARを楽しめるなど、ARメガネとはまったく違う体験を味わえるそうだ。

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Mojo Vision
【市販化されるのはもうすこし先】

 モジョ・ヴィジョンからは、視覚障害者の支援を目的とする非営利団体と提携し、そうした人たち向けのリハビリの研究を開始した旨も発表されている。

 ただし、市販までにはまだ先が長いようだ。というのも、コンタクトレンズは医療機器扱いになるために、アメリカ食品医薬品局から認可をえなければならないからだ。

 だが同局ではモジョ・レンズをブレイクスルーデバイスと認定しているくらいなので、認可プロセスは案外スムーズに行くかもしれない。


 なおモジョ・ヴィジョンはシリコンバレーのベンチャー企業のほか、GoogleやLGなどの名だたる企業から110億円を超える出資を受けている。

References:businesswire / spectrum/ written by hiroching / edited by parumo

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