新型コロナウイルスで活動が制限されたイタリア、ベネチア運河でイルカの姿が発見される

Gellinger/pixabay
 ヨーロッパの中でも特にイタリアでは新型コロナウイルスが猛威を振るっている。感染拡大を防ぐため、都市は閉鎖され外出すらも禁止されている。年間を通して世界中から多くの観光客が集まるイタリアも、今は閑散とした状況だ。

 だが、人間の活動が制限されたことによる影響は思わぬところにあらわれた。大気汚染が改善されたのだ。更にはベネチアの運河に透明度が戻り、イルカや魚たちの姿が見られるようになったという。更には白鳥も泳いでいたようだ。
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Venice canals run clear again in unexpected silver lining of coronavirus lock-down measures

【汚れていたベネチアの運河がきれいになってイルカや魚、が戻ってきた】

 世界的にも有名な歴史的建築物が数多く残されているイタリア。これまで、世界中からの観光客が後を絶たない状態だったが、イタリア国内のコロナウイルス感染拡大に伴い、全土で移動禁止となってしまった。

 イタリア北部に位置するヴェネツィアでも、観光客は激減し、多くの事業や施設が閉鎖。もちろん住民らも自宅に留まるよう求められているといった状態だ。

 そんな中、ベネチアの運河に変化が現れた。

 大気汚染が減少したことで、運河の水が透明度を増したのだ。

 これまで、ベネチアの運河は多くの観光客が訪れるために濁った緑色になっていた。魚などはめったに見られない状態だったが、最近にアドリア海に繋がる運河の澄んだ水の中で魚が泳いでいる姿が目撃された。

 なんとイルカまでもがやってきた!複数のイルカがサルデーニャ島カリアリの船渠で泳いでいる姿も発見され、動画や写真がSNSでシェアされた。



【白鳥も泳いでいた!】

 あるユーザーは、ブラーノ島のラグーンから決して出たことがない白鳥まで、運河を泳いでいる姿を写真に収め、コロナウイルス感染の影響が大きい一方で、ヴェネツィアに自然が戻ったことを喜ぶ声を寄せた。


【「人気の観光地では滅多に見られなかった光景」】

 透明度を増した運河で泳ぐイルカや魚の姿を見た住人たちは、その光景に驚きながらも次のように話している。

いつも人気の観光地で、もう長い間こんなふうに運河の水が透明だったのを見たことがなかった。

ヴェネツィアでは下水管システムがないので洗剤や化粧品などは運河に流れ込むんだ。でも、今は検疫中だから運河の走行は保留状態だ。

よりクリーンな環境になって、街もガラガラで、魚が運河を泳ぐ姿まで見られるってことは検疫に感謝しなきゃならないかな。


【欧州宇宙機関の人工衛星からもその違いが顕著に】

 イタリアの大気汚染レベルが顕著に減少した事実は、欧州宇宙機関(ESA)の人工衛星Sentinel-5 Precursorの動画を見ても明らかだ。

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Coronavirus: nitrogen dioxide emissions drop over Italy

 イタリア上空の二酸化炭素の濃度(動画赤色の部分)が、2020年1月1日~3月11日までの3か月間で激減していることがわかる。これはひとえに、コロナウイルス感染による観光客激減と事業閉鎖の影響が大きいといえよう。

 世界を代表する観光地のひとつであるヴェネツィアがほぼ閉鎖状態となった今、住民の1人は複雑な胸の内をこのように語った。

この悲劇的な出来事から学んで、今後は多くの観光客と清潔さのバランスが取れるような街になることを願っている。

 この1件については、SNS上で「コロナウイルスの影響で大気汚染減少と聞くと、悪いことばかりではないのかなと前向きになれる」「今後は海外に旅行するのを考えようっていう人も出てくるかも」「地球がクリーンになるいい機会なのかもね」といったコメントが寄せられている。

written by Scarlet / edited by parumo

記事全文はこちら:新型コロナウイルスで活動が制限されたイタリア、ベネチア運河でイルカの姿が発見される http://karapaia.com/archives/52288983.html
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