イギリスの古い井戸に今も出没すると言われているメイドの幽霊の物語

イギリスの幽霊井戸 / Pixabay
 屋敷の井戸に幽霊が潜んでいるという伝説がある。日本では、お菊さんの幽霊が夜な夜な「いちまーい、にまーい... 」と井戸でお皿の数を数える皿屋敷が有名だが、イギリスにも、幽霊が住み着いた井戸の伝説がある。


 イギリス、ダラム州には宗教的に重要な意味をもつ聖なる井戸が多くあり、中には幽霊が住み着き、今でも幽霊を見たという目撃例が後を絶たないところがある。
【イギリスの聖なる井戸】

 かつて、安全で新鮮な水は貴重なものだった。そんな水が奇跡的にわいた泉は遠くまで知れ渡り、キリスト教以前の時代から、敬意をもって扱われてきた。

 英国北東部でキリスト教が浸透した時期、こうした泉は聖なる井戸とみなされるようになった。多くは聖人の名をつけられ、彼らの徳のおかげで、生きるための水がとめどもなく地面からわき出すようになったと信じられてきた。

 イギリス、ダラム州は、宗教的に重要な意味をもつ聖なる井戸が、少なくとも30はあったと言われている。


 現在では失われてしまったものも多いが、ウィリントンのホーリーウェル・バーン、ステインドロップのホーリーウェル・ハウス、ヘイントンのハリウェル・ベックのなど、地図上に残された名が聖なる場所のヒントになっている。

 ダラムの町の聖なる井戸には幽霊が棲みついたところもある。

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【メイド女性の霊が出る井戸】

 モーブレー・ストリートとフラス・ストリートから階段を昇りきった一番上に、フラ
ス・ウェルという井戸がある。1947年から48年と1962年から63年の冬に、地元の人たちが利用していたそうで、わき水が豊富だったようだ。

 しかし、今は草木が生い茂り、捨てられるゴミも多くなって、井戸そのものが見えなくなってしまっている。このフラス・ウェルの井戸周辺に、メイドだったジェーンという女性の幽霊が今でもたびたび出現すると噂になっている。


 1789年に故ピーター・ジェフェリーズが行った調査によると、ジェーンは夜に家からおびき出されて殺されたという。この事件に周辺は騒然とし、何人か容疑者が尋問を受けたが、結局、犯人は捕まらなかった。何年もたってから、ある兵士が大陸の戦場で、死の間際にこの殺人を自白したという。

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 恨みを晴らすことのできないジェインは、いまだに暗くじめじめした井戸周辺をさまよっているのかもしれない。

 フラス(flass)という単語は、古い北部の言葉で"湿地"を意味し、周囲の地形がフラス谷という峡谷になっていることを考えると、常に水がわいていたことも腑に落ちる。

 街灯もまだない当時、沼地の多い土地は霧がたちやすく、視界も良くない。
大昔に殺された者の霊が恨みを抱えたまま彷徨っているように見えるのも無理はないのかもしれない。

References:The overgrown holy well of Durham said to be haunted by the ghost of Jeannie | The Northern Echo/ written by konohazuku / edited by parumo

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