アメリカで野生のリスに腺ペストの陽性反応。人や家畜への感染の可能性を当局が警告

アメリカのリスが腺ペストの陽性反応 JoeBreuer/pixabay
 地球上では感染するウイルスや病原菌が猛威を振るっている。コロナウイルスはもちろん、アメリカでは「ウサギエボラ」が、イタリアでは猫の「リッサウイルス感染症」が確認された。


 そして今度はコロラド州ジェファソン郡で、野生のリスに腺ペストの陽性反応が出たことを、郡の公衆衛生局が発表した。ジェファソン郡では腺ペストの初の症例となる。

 当局は、適切な予防策を講じなければ、人間や家畜に感染する可能性があると警告しており、複数の予防策を推奨している。『abc NEWS』などが伝えている。
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Squirrel In Morrison Tests Positive For Bubonic Plague

【州内初、野生のリスに腺ペストの陽性反応】

 コロラド州西部ジェファソン郡の公衆衛生当局(JCPH)は、今月11日の検査で、同郡モリソンに生息する野生のリスに腺ペストの陽性反応が出たことを発表した。

 これは、同郡で記録された腺ペストの初の症例であると理解されており、JCPHは声明文にて次のように述べている。


疫病は、エルシニアペスト菌によって引き起こされる感染症で、適切な予防策を講じなければ、人間や家畜が感染する可能性がある。

 当局によると、感染したノミに刺されたり、感染した動物の咳を浴びたり、また感染した動物の血液や組織との直接接触があったりした場合に、人間がこの病気にかかる可能性があるという。

 ペットの中でも、特に猫は感染率が高いそうだ。犬の場合は猫ほどではないが、腺ペストに感染したげっ歯類のノミを拾って運ぶ可能性があることから、いずれも注意が必要ということだ。

 そのため、当局では野生生物の近くに住むペットの飼い主は、ノミの人への移動を防ぐために、ノミ駆除について獣医師に相談すべきと促している。

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【JCPHは下記の予防策を推奨】

 腺ペストの症状には、発熱、悪寒、頭痛、吐き気以外にもリンパ節の2~7日以内の痛みと腫れがある。


 腺ペストによるワクチンはないが、症状が現れてから24時間以内にそれと判明すれば、抗生物質で治療できるが、放置しておくと死に至る可能性もあると伝えられている。

 JCPHは、以下の予防策を推奨して注意喚起を促している。

・全ての食料源、倉庫、家から野生生物のアクセスを排除すること。
・野生生物に餌を与えないこと。
・野生生物の生息地を減らすため、ゴミのない庭を維持すること。
・人やペットは病気や死んだ野生生物、げっ歯類との接触を避けること。

・ペットが病気になったら、獣医師に診察してもらうこと。
・ペットのノミやダニの防除についても、獣医師に相談すること。
・ペットが家の外で自由に移動しないようにし、野生生物を捕食して家の中に持ち込まないようにすること。

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【アメリカでは腺ペストが撲滅していない】

 腸内細菌科に属するペスト菌の感染の仕方と症状の出方によって「腺ペスト」「肺ペスト」などに分類されているが、黒死病”と呼ばれた悪名高きペストは、人類の歴史を通じて最も致死率の高かった伝染病であり、1347年から1353年にかけて流行した際にはヨーロッパの全人口の約3分の1が死滅したと言われている。

 アメリカでは腺ペストが完全に撲滅しているわけではなく、現在でも、1年あたり平均7人のペスト症例が報告されている。

 米国疾病予防管理センター(CDC)は2015年にコロラド州で2人がペスト感染により死亡したことを明かしている。


 また、WHOによるとペストの死亡率は8~10%と推定されているということだが、報告されていない症例もあるため、実際にはその数よりも多い可能性は否めない。

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【モンゴルでも腺ペストの感染例が相次いで確認】

 今回の新たなペスト菌においては、モンゴルのゴビアルタイ州に住む15歳少年が腺ペストを発症し死亡したことがモンゴル当局により確認されている。

 この少年は狩りで捕らえたマーモットを食べた後、腺ペストを発症したとみられており、少年と接触した15人が隔離され、抗生物質による治療を受けている。また、同県内の5地域で、6日間の封鎖措置が取られた。

 モンゴルでは今月初めにもホブド県で、2件の腺ペストの感染例が確認されており、内モンゴル自治区でも、遊牧民の男性1人が腺ペストに感染した。地元当局は、ペスト菌を媒介している恐れのあるマーモットの狩猟と食用を今年いっぱい禁止したそうだ。


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written by Scarlet / edited by parumo

記事全文はこちら:アメリカで野生のリスに腺ペストの陽性反応。人や家畜への感染の可能性を当局が警告 http://karapaia.com/archives/52292769.html