6800万年前を生きたクリップ型のイカのような姿に見える水中生物は200年の寿命を持っていた(米研究)

クリップのような形をしたディプロモセラス・マキシマムの寿命は200歳 image by:James McKay
 6800万年前、陸上ではティラノサウルスが大暴れしていた頃、海の中には紙を束ねるクリップのような、それでいてイカのような姿の生物がいた。

 クリップといっても巨大で「ディプロモセラス・マキシマム(Diplomoceras maximum)」の体は1.5メートルあった。
ついでにイカに似てはいても、すでに絶滅したアンモナイトの仲間だ。

 最新の研究によると、ディプロモセラス・マキシマムの寿命は人間よりも長く200年あったという。

【寿命は200歳 人間より長生きだった可能性】

 ディプロモセラス・マキシマム(以下D・マキシマム)はきわめて珍しい形状の貝殻を持つために、当時どんな風に生きていのか詳しく知ることは難しい。だがアメリカ・シラキュース大学の研究グループによれば、彼らは人間よりもずっと長生きだった可能性があるという。

 貝殻に含まれる炭素と酸素同位体の分析から、そこに反復するパターンがあることが判明。これは海底から放出されていた毎年のメタンを反映したものと考えられ、貝殻の節と一致していた。
すなわち節の数を数えれば、その年齢を推定できるということだ。

 そこから導き出される1.5メートルのD・マキシマムの年齢は、なんと200歳だ。

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Cephalopod: Diplomoceras maximum (PRI 13889) by Digital Atlas of Ancient Life
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【南極の過酷な環境が長寿をもたらした?】

 人間で200歳ならとんでもなく長生きだが、アンモナイトの仲間としてはどうなのだろうか?

 巻貝のような殻を持つアンモナイトは貝の仲間のように見えて、じつはタコやイカと同じ「頭足類」だ。現生の頭足類の寿命がせいぜい5年程度であることを考えれば、D・マキシマムはやはり相当な長寿と言えるだろう。

 それほどまでに長生きするようになった理由ははっきりしない。だが、D・マキシマムは南極の近くで生きていた。
冬は長く過酷で、思うようにエサにありつけなかったであろう海だ。

 こうした環境を生きるために代謝がゆっくりになったことで寿命が伸びた、あるいは過酷な環境で繁殖するチャンスを最大化するための適応だったといった可能性が推測されている。

 この研究は、10月26~30日にかけて開催されたアメリカ地質学会の『オンラインミーティング』で発表された。

References:newscientist/ written by hiroching / edited by parumo

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