今回の研究では、耳鳴り患者25名と健康な対照群21名を対象に、耳鳴りと関係があるとされる側頭葉・前頭葉・後頭葉をfNIRSで検査。それから機械学習アルゴリズムをもちいて、その検査データと耳鳴りの大きさ・不快さの分類が行われた。
検査の結果、耳鳴り患者にのみ、脳の側頭、前頭、後頭の領域間で強い接続性の変化を確認。アルゴリズムはfNIRSの検査結果から耳鳴りの有無を78%の正解率で言い当て、さらに耳鳴りの重症度も87%の正解率で分類できるようになった。
【耳鳴りはそれ以外の感覚情報処理に影響を与えている可能性】
なお今回の研究では、耳鳴りの重症度が高い患者は、高確率でうつ病や不安症を患っており、知覚される音の強度とストレスも大きいこともわかった。
これは耳鳴りが音声信号だけでなく、それ以外の感覚情報の処理にまで影響を与えている可能性があるということだ。つまり耳鳴りは、ある人が世界で体験するすべてを歪めてしまっているのかもしれないのだ。
今回これまで患者からの自己申告に頼るよりなかった耳鳴りの診断を、fNIRSと機械学習をもちいることで客観的に行えることが証明された。客観的で正しい診断は、正しい治療にもつながることだろう。
この研究は『PLOS One』(11月18日付)に掲載された。
References:inverse / sciencealert/ written by hiroching / edited by parumo
記事全文はこちら:本人にしか聞こえない「耳鳴り」の音を客観的に測定する方法が開発される http://karapaia.com/archives/52296772.html
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