長時間労働が死に至る病に。世界保健機関(WHO)が新たなる研究結果を報告

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 このほど、世界保健機関(WHO)と国際労働機関による「長時間労働が健康に与えるリスク」の合同調査結果が発表された。 それによると、週55時間以上働くと定義される「長時間労働」は心臓病や脳卒中、過労などによる死亡リスクを高め、年間74万人以上が長時間労働にが原因で死亡していることが記録されているという。

【年間約74万5000人が長時間労働により死亡】
 世界保健機関(WHO)と国際労働期間は、長時間労働は労働者を感情的および肉体的に消耗させるだけでなく、心臓病や脳卒中といった致命的な病を引き起こす可能性が高いという新たな報告書を発表した。

 過去の研究でも、長時間労働が心血管の健康に特に有害であることが伝えられているが、今回のWHOの新たな報告では実際に世界的な犠牲者の数が発表されており、具体的数を挙げる研究報告は初となるようだ。

 その調査データによると、世界中で4億8800万人が週55時間以上と定義される長時間労働に従事していることが判明したという。

 長時間労働者は、週35~40時間働く人と比較して、心臓病のリスクが17%高く、脳卒中のリスクにおいては35%も高くなると研究者らは結論付けている。  事実、研究が焦点を当てた2016年には、長時間労働が原因で約34万7000人が心臓病で死亡し、約39万8000人が脳卒中で死亡。1年間で、推定74万5194人の過労による死亡者が発生したそうだ。

 記録された死亡者のほとんどは、45~74歳の間に週55時間以上働いていた60~79歳の男性、西太平洋および東南アジア地域に住む人々、また中高年の男性労働者であることが分析結果として明らかになっている。
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【職種や状況に関係なく長時間労働は全ての人に潜在的に有害】
 WHOは、世界中で長時間労働が増加していることに警鐘を鳴らしている。

 分野や状況に関係なく、全ての人に長時間労働は潜在的に有害であり、事実多くの人が長時間労働によって仕事関連の障害や早期死亡のリスクに晒されていると明かしている。

 また、当局はコロナのパンデミックの影響の可能性についても懸念。WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェソス事務局長は、報道発表でこのように述べている。
今や、多くの業界で在宅勤務は一般的となり、家庭と職場の境界が曖昧になりがちです。

更に、多くの企業が資金節約のために事業の縮小もしくは閉鎖を余儀なくされているため、多くの解雇者が出る一方で、仕事を続けている人はより長時間労働に従事することになります。

ですが命あっての仕事です。脳卒中や心臓病のリスクを上げてまで働く必要があるのかどうかを考慮すべきです。
 WHOの警告は、今に始まったことではない。前々から職種に関係なく長時間労働が人々の健康にどれほど有害であるかは伝えられてきた。

 例えば、燃え尽き症候群は、風邪やインフルエンザのリスクの増加に繋がり、頭痛や睡眠障害、胃腸障害、高血圧などの慢性的な症状の他、臨床的うつ病のような深刻なメンタルヘルス問題を引き起こす可能性があるとされている。
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 今回のWHOの調査では、長時間労働をして致命的な病に至る人は、運動したり家族や友人と過ごすなど健康的な活動をする十分な時間を持てない場合が多く、光があまり当たらない職場で高い需要のために多忙な作業を行い、埃や有毒化学物質などを過度に浴びて有害な危険に晒されている可能性もあることが発表されている。

 WHOの環境・気候変動・健康部門の責任者マリア・ネイラ氏は、次のように述べている。
週に55時間以上働くことは、深刻な健康被害を引き起こします。

政府、雇用主、労働者は、労働者の健康を保護するための制限について協力し合意する必要があります。長時間労働が早死に繋がる可能性があるという事実に、私たち全員が目覚める時が来たのです。
written by Scarlet / edited by parumo

記事全文はこちら:長時間労働が死に至る病に。世界保健機関(WHO)が新たなる研究結果を報告 https://karapaia.com/archives/52302218.html
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