地球上で最も塩辛い湖、エルタ・アレ湖(エチオピア)は有毒ガスが発生する殺人湖
 エチオピア北東部、ダナキル砂漠のダロル火山近くにある小さな湖『エルタ・アレ湖』は、43.3%もの塩分を含む地球でもっとも塩辛い塩湖だ。

 世界の平均的な海の塩の重量比率は3.38%、死海でも23.1%であることを考えれば、その鬼しょっぱさがわかるだろう。


 鉄塩が多く含まれている為触るとヌルヌルする。また、水面から有毒ガスが発生している為、水辺には鳥や昆虫の死骸が放置されている。

オイル湖、殺人湖の異名を持つエルタ・アレ湖 エルタ・アレ湖の水には、過剰な鉄塩が含まれているため、触れるとまるでオイルのようにぬめぬめしている。

 地元の人たちは、その感触からこの湖を"オイル湖"と呼ぶ。一方で、水面から有毒ガスが発生していることから、"殺人湖"とも呼ばれる。岸辺には鳥や昆虫の死骸がそのまま放置されていて、水に近づきすぎるとこうなると、その危険性を警告している。


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Photo by: A. Savin/Wikimedia Commons
発生する有毒ガスは成人を死に至らしめるレベル アフリカの角(アフリカ最東北端の尖っている地域、ソマリア付近)の3つの地殻プレートが分かれてできたダナキル砂漠は、エチオピア独特の景観が見られ、地質学的に人気の観光名所になっている。

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ダナキル砂漠 photo by iStock
 だが、専門家は、エルタ・アレ湖や周辺の塩湖には十分注意するよう観光客に警告している。

 とくにガスがたまりやすい地表付近では、火山性CO2などの有毒ガスが、ときに成人を死に至らしめるほどのレベルまで達することがあるという。

 エルタ・アレ湖で調査を行っている研究者たちが目撃した、おびただしい数の鳥の死骸は、近づこうとする人への恐ろしい警告だ。

 鳥たちは、怖ろしく塩辛い水を飲んでしまったのかもしれないが、CO2のせいで死んだ可能性が高い。

 塩分濃度の極めて高い水が、鳥の体を塩漬けにしたような状態にしてしまい、体の一部がすっぽり塩に覆われた鳥もいて、死んでからかなり時間が経過しているようだ。


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 エルタ・アレ湖がいつできたのかは誰も知らないが、ランドサット衛星が、2003年2月6日に撮影した映像によると、現在とほぼ同じ半円の湖が写っていた。

 しかし、2005年の地震によって火山性温泉が復活して、極端に塩分濃度の高い水をずっと湖中に供給し続けている。

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決して入浴してはいけない、近づいてもいけない禁断の湖 温度が50~55度前後になるエルタ・アレ湖の水は、加水すれば快適な温泉になりそうだが、実際はpH3.5~4の強酸性で、知らずにうっかり入浴したりしたら、ひどい火傷を負いかねない。

 観光客が湖に近づくのは決してお勧めできない。

 周辺で絶え間なく形成されている塩分を含んだ地殻は、塩分が飽和状態になっていて非常に脆く、人ひとりの体重も支えられない可能性があるからだ。

Gaet'ale Pond/ written by konohazuku / edited by parumo

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