スタンフォード大学の専門家による、睡眠薬に頼らず不眠症を改善するための4つのテクニック(認知行動療法)
 人間が健全に生活していく上で、睡眠が大切なことは周知の事実だ。睡眠不足は心身に様々な影響を及ぼすことがこれまでの研究で明らかになっている。


 興奮状態にあると一時的に眠れなくなることは誰にでもあるが、それが1ヶ月以上ずっと続くようだと「不眠症」となり、日常生活に支障をきたすようになる。

 医師に相談し、睡眠薬を処方してもらう手もあるが、なるべくなら薬に頼りたくない。そんな人の為に、スタンフォード大学が「不眠のための認知行動療法」を紹介してる。

 以下で紹介す4つのテクニックは、誰にでも簡単にできるものだ。気軽に試して、健康的な睡眠を取り戻すヒントにしてほしい。

 認知行動療法とは、ものの考え方や(認知)や行動にに対して働きかけ、気持ちを楽にする精神療法(心理療法)の一種である。


 人間は追い込まれるとどうしても悲観的になり、さらに状況を悪化させてしまうことがある。認知行動療法では、そうした考え方のバランスを取って、ストレスに上手に対応できる状態を作り上げることを目指しており、個人差はあるものの、不眠症に対しても一定の効果が得られている。1. 刺激制御 これは条件付けにより睡眠のリズムをつくる方法だ。ぐっすり眠るのならば、眠りへ誘う刺激を強め、目を冴えさせる刺激を弱めることが大切だ

・毎朝決まった時間に起きる
 たとえば「毎朝決まった時間に起きる」と決めると、体内時計を整えて、睡眠リズムを作りやすくなる。

・眠くなってから布団に入る
 では就寝時間はどうすればいいだろうか? 不眠症の人が毎晩決まった時間に眠るのは難しい。そこで夜眠る時間はあえて決めなくてもいい。
「眠くなってから布団に入る」のだ。

 ただし、”眠気”と”疲れ”を混同しないこと。疲労もエネルギーが消耗した状態だが、我慢しないと起きていられない眠気とはまた違う。

 不眠症の人は、”疲れている”のに”眠れない”という人がとても多いのだそうだ。

・眠れないときは一旦布団から出る
 そして布団に入っても眠れない場合は、ひとまず「布団から出る」こと。布団に入るのは、あくまで眠くなったときだ。


・昼寝をしない
 それから「昼寝をしない」ことも大切だ。

 ただし起床から7~9時間後に15~30分程度昼寝をするだけなら、夜の睡眠が邪魔されることもないので、リフレッシュ法としていいとのことだ。

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2. 布団にいる時間を制限 布団の中で眠れないままジリジリ朝を待つのは健康的ではない。そこで、そうした無駄な時間をコントロールして、眠りにつなげてみよう。

 たとえば、あなたは夜11時に布団に入って、朝8時に布団から出るという生活を送っている。この間、9時間が経過しているが、実際には6時間しか眠っていないとしよう。


 この場合、「布団に入っている時間を6時間に制限する」のだ。最初はつらいが、1週間もすると、布団に入ったまま眠れずに過ごす時間が短くなってくる。

 それでも相変わらず睡眠不足かもしれない。そこで今度は「布団に入る時間を15~30分ほど長く」する。これを繰り返して、ぐっすり眠れる睡眠パターンを作り上げるのだ。

 なお、布団時間を延長するタイミングは、過去1週間の平均を見たときに、「”布団時間”に対する”実際の睡眠時間"の割合が85%を超えたとき」だ。


 たとえば布団時間が6時間のとき、5時間眠れているなら延長する。反対に「80%以下ならば布団時間を制限」する。

 ただしいくら眠れないからといって、布団時間を5.5時間未満にしてはいけない。

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3. 眠りの前のリラックス ストレスを減らし、リラックスすることが、ぐっすり眠るためのコツだ。

 特に「就寝1時間前は、ゆったりくつろぐ眠りの準備タイム」にするといい。こうすると眠気が強まって、眠りやすくなる。


 「時計を見ない」のも有効だ。それでは就寝時間がわからないというなら、眠る時間にアラームをかけておけばいい。

 また就寝前4時間は運動を避けること。さらに寝室を静かで快適な環境に整えておくことも大切だ。

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4. 食べ物や飲み物に気をつける 眠れなくなるものといえば、代表的なのは「コーヒー」だ。そこに含まれるカフェインの効果は人によってさまざまだが、特に敏感な人もいる。そうした人なら、「ランチが過ぎたらコーヒーは控えよう」。

 また、カフェインは「薬に含まれていることもある」。そうした薬を服用しているのなら、できれば就寝前に飲むのはやめた方がいい。

 アルコールは、一時的には眠くなる。ところが、睡眠が浅くなり、ついでにトイレまで近くなる。だから「お酒はかえって眠れなくなってしまう」。

 それから「夜食も控えよう」。睡眠中は消化器の働きが低下する。すると消化不良になって、睡眠が邪魔されてしまうのだ。

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眠れない日が長期間続くようなら、無理をしないで専門家に相談を ただし、こうしたテクニックすら続けることが難しい場合がある。

 たとえば、まったく眠くならないといったケースや、毎朝決まった時間に布団から出られないというケースだ。

 そんな場合は、睡眠障害や行動的睡眠医学の特別な訓練を受けた専門家に相談するのがいいだろう。彼らは、明るい光で体内時計の乱れを治すなど、さまざまな治療法を知っている。

 健康を損ねてしまう前に、眠りのプロに助けを求めるといいだろう。

References:Cognitive Behavioral Therapy for Insomnia | Stanford Health Care / written by hiroching / edited by parumo

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