サイコパス人格特性を持つ人は、感情に関連する脳領域の構造と機能に違いがあることが判明
 フィンランドの研究者がサイコパスの人格特性を持つ”犯罪者”と一般人の脳を調べたところ、サイコパスの脳は感情とその制御にかかわる領域が、構造的にも機能的にも違っていることが明らかになったそうだ。

 ただし、それはサイコパスだけに限った話ではないという。
一般人であっても、多少の差はあれサイコパス的な脳を持つことがあるそうだ。

 サイコパスとは、その症状があるかどうかではなく、程度の問題で、それが極端に表れてしまった人が、暴力や犯罪に走るということなのだそうだ。

サイコパスの犯罪者と一般人の脳を比較 「サイコパシー」は、持続的な反社会的行動、共感の欠如、良心の呵責、罪悪感のなさ、冷酷さ、過大な自尊心、自己中心性などを特徴とする反社会性パーソナリティ障害の一種であり、その人格特性を持つ人をサイコパスという。

 とは言え、サイコパスが全員犯罪者であるとは限らない。社会に上手く適応しているケースもあり、一部成功を収めている人も存在する。

 フィンランド、トゥルク大学をはじめとする研究グループは、犯罪者専門の精神病院の協力を得て、”犯罪を犯した”サイコパスの服役者と一般人の脳を比較。
その結果を『Cerebral Cortex』(21年4月9日付)で発表した。

 今回の研究では犯罪者のサイコパスが被験者となっていることに注目したい。

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サイコパスは感情とその制御にかかわる領域が異質 この研究では、参加者(犯罪を犯したサイコパスと一般人)に暴力的な映画か非暴力的な映画どちらかを観てもらい、その間の脳の活動がfMRIで観察された。

 その結果、サイコパスの犯罪者は「感情」と「その制御」に関する領域の密度が低く、構造的・機能的に違うことが明らかになった。彼らが暴力的な映画を観ているとき、こうした領域が一般人よりも強く反応するのだ。

 研究グループによると、こうした違いは、サイコパスに見られる冷淡さや衝動性を説明してくれるという。


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一般人にもサイコパス脳の持ち主はいる ただし、このことはサイコパスだけに限られた話ではない。一般人であっても、サイコパス的傾向のある人がおり、そうした人の脳は犯罪者のサイコパスのものに似ていたという。

 このことはサイコパスと診断されるかどうかは、程度の差でしかないことを示しているという。

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犯罪を犯すのは極端なサイコパス脳 大胆で抑制の効かない自己中心性など、サイコパスに見られるとされる特徴は、心理的あるいは社会的に高い地位にある人たちにも見られることがある。

 だからといって、そうした人々が犯罪に走ることは少ない。それはサイコパスの特性は連続的なもので、多少その傾向があったとしても普通に暮らせるからだ。


 しかし人口の1パーセントは、サイコパス傾向が特に強く表れており、その場合、暴力や犯罪につながることがある。

 こうした発見は、暴力を引き起こす生物学的メカニズムを理解するヒントになるほか、攻撃性や反社会的行動に対するより効果的な治療を計画するのに役立つとのことだ。

References:The Neural Basis of Psychopathy - Neuroscience News / written by hiroching / edited by parumo

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