スコットランドの学校が顔認証で給食費を支払うシステムを導入し、物議を醸す

スコットランドの学校が顔認証で給食費を支払うシステムを導入し、物議を醸す
 イギリス、スコットランドのノース・エアシャー行政区画内にある9つの学校が、生徒の給食費支払いに顔認識システムを導入したことを発表した。

 これらの学校では給食を受け取る際、生徒たちがその都度、代金を支払っていたのだが、顔認証を導入することで、効率的に給食の受け渡しができるようになるという。

 しかしこれが、子供のプライバシーについての懸念を引き起こしているようだ。

顔認証で給食費を支払うシステムを導入するメリット 10月18日より、スコットランドのノース・エアシャー行政区画の9校が、顔認証で給食費を支払うシステムを導入したことを発表した。

 この地区では毎月給食費を徴収するのではなく、その都度生徒たちが給食費をその場で支払う方法をとっていた。

 評議会と学校側は、このシステム導入により、キャッシュレスによる支払いの決済が高速化され、行列を減らし効率的に支給できるだけでなく、コロナなどの感染症が発生した場合、非接触による衛生的なアプローチにも繋がると主張。

 システムを提供したCRB Cunninghamsのマネージング・ディレクター、デイヴィッド・スワンストン氏は、そのメリットを称賛し、このように語っている。
中高等学校では、潜在的に1000人の生徒に学校給食を提供するため、25分という時間が設けられています。

しかし、販売時点で時間を費やすと、食べる時間が減少してしまいます。そこで、決済の高速化は必須となります。
顔認証にすると、キャッシュレスで非接触型となるため、他のシステムよりコロナの安全性も高くなり、各生徒の給食費の決済が5秒に短縮できます。


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 ノース・エアシャー評議会のウェブサイトでも、顔認識技術を導入するにあたり、「非接触型でカードを持ち運ぶ必要なし」「パスワードの入力不要」「スピード決済」「ランチサービスを迅速に」「安全で安心」といった利点が挙げられている。

 更に、同評議会スポークスパーソンは次のように述べている。
革新的な技術を使用してサービスをより効率的にし、生徒の体験を向上させる新しいITの導入を可能にしました。

コロナに関連する継続的なリスクを考えると、生徒とスタッフの両方にとって、より安全な環境を提供するため、評議会はこの非接触型の識別を実施することに熱心です。

顔認識は、私たち全ての要件を満たす最適な解決法として評価されています。
 しかし、これに「待った」をかけたのが、活動家や一部の親たちだ。 プライバシーについての十分な考慮がされていないと批判の声 ノース・エアシャー評議会によると、子供または親の97%が顔認識システムの使用に同意したということだが、一部の親や活動家からは懸念の声があがっている。

 キャンペーングループ「Big Brother Watch」の責任者シルキー・カルロ氏は、次のように話している。
指紋スキャナーなど、他の生体認証システムはイギリス国内の学校で何年も使用されてきました。顔認識技術は不要ではないでしょうか。

学校側は、生徒にプライバシーリスクについての十分な説明をしていないと思われます。非常に機密性の高い個人データが保護されるのは当たり前のことです。学校側は、子供たちにリスクを警告すべきです。

顔認識技術は、特に女性や有色人種はその不正確さに悩まされています。私たちは、この侵略的で差別的なシステムが子供にどのような影響を与えるのか、非常に懸念しています。

ニューヨークの学校では、顔認識の誤認の高さからリスク差別を高めているとして、この技術の使用を禁じています。

子供たちは、学校給食を得るためだけに、国境スタイルの身元確認を受ける必要などありません。

私たちは、安全保障国家ではなく、民主主義社会に暮らしています。
 なお、CRB Cunninghams側は、学校に設置されてある顔認識システムは、通常のものとは異なると述べている。
カメラは学校のサーバーに保存されている暗号化されたフェイスプリントテンプレートと照合することになります。
 しかし、顔認識の潜在的な危険性について、適切に子供たちに警告がなされていないことが問題だと、一部の親は学校に苦情を申し立てたようだ。 厳格なガイドラインを遵守すべきとスコットランド政府 この1件においては、イギリスで情報の権利を擁護するために設立された独立機関ICO(Information Commissioner’s Office)が介入する旨を明らかにしている。

 ICOのスポークスパーソンは、次のように述べている。
顔認識技術を使用する組織は、使用前、使用中、使用後にデータ保護法を遵守する必要があります。

目標に、別の方法で達成できるのであれば、組織は異なるアプローチに使用を検討すべきです。
 一方、スコットランド政府はこのように声明を出した。
地方自治体は、データ管理者として一般データ保護規則を遵守する義務があり、学校は法律により個人データの収集、保存、記録、共有の方法に関する厳格なガイドラインを守る必要があります。
 わずか25分間の学校給食の支払いに顔認識システムが導入することで、多くの議論や懸念を引き起こしているスコットランド。

 ちなみにイングランドでは、現在27の学校が給食費の支払いに顔認証システムを導入しており、今後より多くの学校でこのシステムが導入されることが期待されているという。

 イギリスでも給食費未払いの家庭が少なくなく、賛否両論はあるものの「給食費を支払わずに食べる子供がいた場合に備えての、こういうシステム導入は明らかに正常で倫理的」といった声も、一部の親からは寄せられているようだ。

written by Scarlet / edited by parumo

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