1年がたった16時間。最短距離で恒星を周回する太陽系外惑星を発見
image credit:esa

 木星の5倍もの質量がありながら、たった16時間で恒星を1周してしまう。そんな超極端な軌道をした木星型太陽系外惑星が発見されたそうだ。


 その軌道はあまりにも恒星に近く、螺旋を描きながら徐々に接近すらしている。観測史上2番目に熱いその惑星は、1000万年後には恒星に落下する可能性もあるそうだ。

謎多きホットジュピター これまで4000個以上の太陽系外惑星が発見されてきた。

 岩石でできた惑星やガスでできた惑星など、それらは多種多様だが、中でも謎が多いとされるのが「ホットジュピター」というタイプの惑星だ。

 ホットジュピターは、太陽系最大の惑星「木星」と同じくらいの巨大なガスの塊だ。だが木星が12年かけてゆっくりと太陽を1周するのに対して、ホットジュピターの場合、わずか10日ほどで1周してしまう。


 これまで400個ほどのホットジュピターが発見されたが、このような重い惑星が形成されるプロセスは、惑星科学上最大の難問の1つとされている。

[画像を見る]

Image credit:NASA, ESA and G. Bacon
1年が16時間、観測史上2番目に熱いホットジュピターを発見 『The Astronomical Journal』(21年11月23日付)で発見が報告された惑星も、ホットジュピターなのだが、やたらと極端なやつだ。

 その惑星は、地球から855光年離れたヘラクレス座、その南に位置する「TOI-2109」を公転している。このために「TOI-2109b」と命名された。

 質量は木星のおよそ5倍で、私たちの太陽より50%も大きい。それなのに、たった16時間で恒星を1周してしまう。
1年が16時間なのだ。

 その公転軌道は、知られている木星型惑星の中では一番短い。

 それは恒星に非常に近いということでもある。恒星との距離は、わずか240万キロ。太陽系でもっとも内側にある水星でさえ、太陽との距離は5800万キロだ。

 そして、ほとんどのホットジュピターがそうであるように、TOI-2109bは「潮汐ロック」されており、恒星に対して常に同じ面を向けていると考えられている。


 つまり、いつまでも陽が沈まない昼側と、決して陽が昇らない夜側がある。

 恒星が近いおかげで、その昼側の表面温度は摂氏3200度の灼熱地獄。小さな恒星にも匹敵する温度で、ホットジュピター「KELT-9b」(推定される昼側の表面温度は摂氏約4300度)に次いで太陽系外惑星の観測史上2番目に高いという。

[画像を見る]

系外惑星KELT-9b(右)と恒星KELT-9(左)イメージ図 Photo by:NASA/JPL-Caltech
いずれは恒星に落下する? 非常にユニークなTOI-2109bだが、「軌道の減衰」を起こしているようだ。お風呂の排水口に水が渦を巻きながら流れこむように、TOI-2109bもまた恒星へ向かって螺旋を描きながら接近しつつあるのだ。

 その速度は年に10~750ミリ秒で、いずれは恒星に落下して、この宇宙から消えてしまうかもしれない。


 こんなにもユニークな惑星が失くなるなんて惜しいと思うだろうか? 大丈夫、それがこの惑星の運命なのだとしても、あと1000万年もかかる。私たちが生きているうちは一緒にいてくれる。

References:One year on this giant, blistering hot planet is just 16 hours long | MIT News | Massachusetts Institute of Technology / written by hiroching / edited by parumo

画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。