
インドのマディヤ・プラデーシュ州政府は、ボパール市のアイシュバーグ地区に建設中の高架橋が、90度に近い角度で曲がっていることを確認した。
これは、鉄道踏切の待ち時間を短縮することを目的として約3億円の予算で建設されたものだが、急カーブどころかほぼ直角だ。
技術者たちは当初、速度制限を付けて自動車専用にすることで運用できると主張したが、安全への懸念から開通は無期限に延期されることとなった。
工事を担当した建設会社2社がブラックリスト入りし、実際に設計に携わったエンジニア7名が停職処分になったという。
ブレーキをかけないと曲がれない橋が爆誕
長さ648m、8.5mのこのアイシュバーグROB(鉄道高架橋)は、鉄道の踏切の待ち時間が引き起こす渋滞を緩和するために建設されたものだ。
建設にかかった費用は1億8,000万ルピー(約3億円)と言われており、地元の住民たちにとっては渋滞を避け、迂回せずに線路の向こう側へ行ける、待望の高架橋となるはずだった。
マディヤ・プラデーシュ州のヤ―ダヴ州首相は、この件について自身のXで以下のように述べている。
アイシュバーグROB建設における重大な過失を認識し、調査を命じました。調査報告書に基づき、PWD(公共事業局)の主任技師2名を含むエンジニア7名が即時停職処分となりました。
退職したシニアエンジニア1名については、省庁による調査が実施されます。
さらに、建設会社と設計コンサルタントはブラックリストに掲載され、ROBに必要な改善を行うための第三者委員会が結成されました
エンジニアは「他に選択肢がなかった」と主張
PWDの主任技師だったVD・ヴェルマ氏は、この設計が唯一の選択肢だったと主張しているという。
地下鉄駅があるため、その地点で利用可能な土地は限られています。土地不足のため、他に選択肢はありませんでした。
ROBの目的は、2つの住宅地を結ぶことです。大型車両の通行は禁止され、小型車両のみが通行可能になります。
ROBはインド道路協会の指示に従って、車両の速度を適切に管理し、安全性を確保した上で運営できると判断されました
アイシュバーグROB建設プロジェクトは、10年という年月をかけて進められてきたものだ。
だがその結果出来上がったものは、マリオカートさながらのほぼ直角カーブとなり、大惨事を招くことは誰の目にも明らかなシロモノだった。
インドのSNSは非難と嘲笑の嵐に
この顛末を知ったインドの人々は、「どうやって曲がればいいんだ?」「開通式に出席する勇気があるのは誰だ?」といった辛辣なコメントが殺到している。
- 土地が少なくてこんな風に設計するしかなかったって? 誰が納得するんだよ。
- インドの土木工学について僕がいつも感じていることを言ってくれたね。ソフトウェア以外はグダグダだよ
- 設計事務所も建設業者も、コンサルも(あったとしたらだけど)、エコシステム全体で誰もこの間違いに気づかなかったんだろうか
- 90度カーブした橋だって> マリオカートのボーナスステージかよ!!
- レーストラックに改造したらどうだろうか
- モスクやスーフィー寺院をよけたら、こうするしかなかったんだろう
- 作ってる途中で誰も疑問を持たなかったのか?
- 他の国ではまず明確にイメージしてから作り始める。インドではまず作ってからイメージするんだ
- 土木工学の奇跡、世界初の傑作だね。アフリカ諸国でさえ、こんな偉業は成し遂げられないよ。賞賛に値する!
- この国の教育制度を映し出す鏡だね。優秀なエンジニアは国を去り、単に資格だけ持ってるに過ぎない連中だけが残っているんだ
- さすがのGoogleマップも、「その方向に曲がって大丈夫ですか?」って聞いてくるんじゃない?
- ANIはこれが中国を打ち負かすインドの工学の驚異だってツイートしてるよ
- インド人は誰も安全なんて知らないからね
- そりゃあ勝っただろう。世界中のどこにも90度カーブなんてないし、今後も出てくることはないだろうし
- いったい誰がこんな計画を承認したんだ?
- まあ、90度というよりは75度くらいかな
- ボパールの新しい観光名所にはなるんじゃない?
- ワイルド・スピードX3のTOKYO DRIFTをやれと?
コメント欄にもあったが、なぜここまで形になってしまう前に誰も気づかなかったのか。
設計したエンジニアや建設会社もだが、州政府や公共事業局も設計の段階でチェックしたり認可したりしているはずではないのだろうか。
さらに建築の途中で、現場にいる作業員や地域の住民たちは何とも思わなかったのだろうか。
と、いろいろ疑問に思うところはあるだろうが、「これがインドだ!」と言われてしまえば納得するしかないかもしれない。
ボパール市当局は、このROBをより安全なものにするために、さらなる土地の確保に乗り出し、もっと緩いカーブに作り直す考えだそうだ。
もちろん、改良工事が終わるまでは開通は無期延期とのこと。
ボパール市民30万人の通勤時間が短縮されるはずだった夢の高架橋だが、完成は当分先になりそうだ。
References: India's 90-degree bridge becomes national laughingstock[https://boingboing.net/2025/07/01/indias-90-degree-bridge-becomes-national-laughingstock.html] / Ndtv.com[https://www.ndtv.com/india-news/bridge-with-90-degree-angle-madhya-pradesh-government-takes-action-against-8-engineers-8786957]
本記事は、海外の情報をもとに、日本の読者がより理解しやすいように情報を整理し、再構成しています。