飢えたマナティーを救うため大量のレタスをが投下される
 アメリカのフロリダ東海岸で、飢えた野生のマナティーたちに餌をやるプロジェクトが、今年初めから実践中だ。

 当局によると、飢えとストレスが原因で州の大西洋岸に沿ったマナティーの死亡率が増加しており、それを防ぐための取り組みだという。

 給餌を続けていることで、死亡率の急増は落ち着いたようだが、一時的なプログラムゆえにマナティーを餓死から守るための今後の対策が必要になるようだ。『cbs58.com』などが伝えている。

マナティーの死亡率増加を防ぐため給餌プログラムが発足 フロリダ東海岸には、現在7500頭のマナティーが生息していると推定されるが、去年同州内で1000頭以上のマナティーが死亡したことが報告された。

 これは、過去数十年で記録されたマナティーの死亡数の中で最も多い数であり、食料資源不足による飢えと、気温の低下によるストレスが原因のようだ。

 今年だけでも既に261頭の死亡が確認されていることから、フロリダ野生生物当局は米国魚類野生生物保護委員会(FWC)と共に、マナティーの死亡率増加を防ぐための給餌プログラムを実践することにした。  マナティーは、最大体長390センチ、最大体重1,500キログラムの大型の哺乳類だ。河川の下流域、河口、沿岸などに生息するが、亜種のフロリダマナティーは冬季になると越冬のため南方へ回遊するという。

 食性は植物食。主に海草や水生植物を食べるが、水辺にある陸生植物や海藻を食べる事もある。法的に保護の対象とされ捕獲や流通の禁止などの対策が進められている。1日約1.4トンのレタスを海に投下 当局は、フロリダ・パワー・アンド・ライト(Florida Power & Light)と協力し、同州ブレバード郡にある公益事業のケープ・カナベラル・クリーンエネルギーセンター(Cape Canaveral Clean Energy Center)に一時的な餌場を設置した。

 フロリダ・パワー・アンド・ライトによると、ケープ・カナベラル・クリーンエネルギーセンターはインディアン川ラグーン北部に位置し、マナティーが冬の間に南に移動する時に集まる重要な立ち寄り場所だという。

 そこで当局は、今年初めにマナティーの餌として主にロメインレタスとバターリーフレタスを1日約1.4トン以上、週約9トンの量を海に投下したところ、天候にもよるが1日25~800頭ほどのマナティーがそれを食べにやってくるようになり、現在では1日平均350頭のマナティーが給餌場でレタスを食べる姿が見られている。 3月まで給餌プログラムを続行予定 この給餌プログラムが発足されて以来、マナティーの死亡率に大きな違いが出ており、プログラム実践は成功の兆しと言えるようだ。

 しかし、給餌場は3月までの予定で、あくまでも一時的な解決策であり、今後の新たな対策が必要になる。

 レタスは、通常リハビリセンターでマナティーが食べている一般的な餌であり、今回の給餌プログラムに必要な大量のレタスは、FWCへの一般市民からの寄付という形での資金提供により賄われているそうだ。

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Manatee lettuce feeding trial continues to see success off Florida's east coast

 マナティーの餓死を防ぐための取り組みは、各メディアでも大きく取り上げられているが、地元警察は一般市民が野生のマナティーに餌を与えることは違法にあたるとして、勝手にレタスなどを投下しないよう注意喚起を促している。

written by Scarlet / edited by parumo

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