
image credit:Osama Shukir Muhammed Amin / WIKI commons
チグリス、ユーフラテス両河地帯でシュメール人によって作り出されたとされる古代メソポタミア文明は世界最古の文明として知られている。
その地で発掘調査を行っていた考古学者たちが、20世紀の初め、イラクのテル・アル・ウバイド遺跡で約7000年前にさかのぼるいくつかの異様な遺物を発見した。
それは、まるでトカゲのような姿をした人型の像で、メソポタミアの先史文明「ウバイド文化」のものと推測されている。
メソポタミア最南部で発生したウバイド文化「ウバイド文化」は、メソポタミアに誕生した先史文化で、紀元前5500年から紀元前4000年頃にさかのぼる。
ウバイド文化はメソポタミアの最南部で発生したが、これに先立ちメソポタミア中部に誕生していた文化とも明らかな繋がりがあった。
ウバイド人がどこからやってきたかについては不明で、シュメール人の起源とシュメール文明の起源を巡る問題にもかかわっている。ちなみにシュメール人の民族系統も未だ分かっていない。
ウバイド人は泥煉瓦で作られた家に住み、大きな村落を形成して、建築や農業を発展させ、灌漑を利用した農耕を営んでいたという。
ウバイド文化の住宅建築術には、大きなT字型の家、開けた中庭、舗装された通り、食品加工設備などがある。
メトロポリタン美術館によると、こうした村の一部が町に発展し、神殿ができ、シュメール文明の主要都市であるエリドゥやウル、ウルクで見られるような巨大建造物も現れた。シュメールの文献によると、ウルが最初の都市だとされている。
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イラク南部ウル近郊で発見されたテル・アル・ウバイド遺跡は小さな丘状で、紀元前5000年にさかのぼる世界最古の文明の1つである / image credit:David Stanley / WIKI commonsテル・ウバイド遺跡で発見された人型のトカゲの像 今回、この異様な遺物が発見されたのは、テル・アル・ウバイドといわれる遺跡だが、これらはウルやエリドゥでも発見されている。
テル・アル・ウバイドの遺跡は、直径500メートル、高さ2メートルほどの小さな丘で、1919年にハリー・レジナルド・ハルが初めて発掘したときに、姿勢の違う男女の小立像が見つかった。
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イラクで発見されたウバイド文化のトカゲ人間の像 / image credit:Mary Harrsch / WIKI commons
ほとんどの像はヘルメットのようなものを被っていて、肩にパッドのようなものが入って盛り上がっている。
ほかにも、正義や支配の象徴と思われる、杖または笏のようなものを持っている像もある。
像はそれぞれ異なったポーズをとっているが、もっとも奇妙なのは、乳を飲む赤ん坊を抱いている女性像だ。その赤ん坊もトカゲのような姿をしている。
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紀元前4000年頃のウルから出土した、子供を抱くトカゲのような頭をもつ女性。現在はイラク美術館に所蔵されている / image credit:Osama Shukir Muhammed Amin FRCP(Glasg) / WIKI commonsなぜ頭部がトカゲのような形をしているのか? 像は、細長い頭部、アーモンド型の目、先細りの長い顔、トカゲのような鼻をしており、まるでレプティリアン(ヒト型爬虫類)のようだ。
これがなにを表わしているのか、完全にはわかっていない。
考古学者たちは、授乳している女性の像などは、儀式的なものではないという。それならば、これらウバイドのトカゲ人間像はいったいなにを表わしているのか?
これらの像がなんであれ、古代ウバイドの人たちにとって重要なものだったようだ。ヘビは、例えばシュメールの神エンキなど、たくさんの神を表わす主要なシンボルとして多くの社会で使われてきたことはわかっている。
ヘビはのちに、古代社会の秘密結社とされる「ヘビの同胞団」のシンボルとして使われるようになった。ヘビのシンボルとトカゲ的な表現の間に関連性はあるのだろうか?
今のところ、この謎の答えはわかっていない。
References:Ancient Reptilians: The Unanswered Mystery of the 7,000-Year-Old Ubaid Lizardmen | Ancient Origins / written by konohazuku / edited by parumo
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チグリス、ユーフラテス両河地帯でシュメール人によって作り出されたとされる古代メソポタミア文明は世界最古の文明として知られている。
その地で発掘調査を行っていた考古学者たちが、20世紀の初め、イラクのテル・アル・ウバイド遺跡で約7000年前にさかのぼるいくつかの異様な遺物を発見した。
それは、まるでトカゲのような姿をした人型の像で、メソポタミアの先史文明「ウバイド文化」のものと推測されている。
メソポタミア最南部で発生したウバイド文化「ウバイド文化」は、メソポタミアに誕生した先史文化で、紀元前5500年から紀元前4000年頃にさかのぼる。
ウバイド文化はメソポタミアの最南部で発生したが、これに先立ちメソポタミア中部に誕生していた文化とも明らかな繋がりがあった。
ウバイド人がどこからやってきたかについては不明で、シュメール人の起源とシュメール文明の起源を巡る問題にもかかわっている。ちなみにシュメール人の民族系統も未だ分かっていない。
ウバイド人は泥煉瓦で作られた家に住み、大きな村落を形成して、建築や農業を発展させ、灌漑を利用した農耕を営んでいたという。
ウバイド文化の住宅建築術には、大きなT字型の家、開けた中庭、舗装された通り、食品加工設備などがある。
メトロポリタン美術館によると、こうした村の一部が町に発展し、神殿ができ、シュメール文明の主要都市であるエリドゥやウル、ウルクで見られるような巨大建造物も現れた。シュメールの文献によると、ウルが最初の都市だとされている。
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イラク南部ウル近郊で発見されたテル・アル・ウバイド遺跡は小さな丘状で、紀元前5000年にさかのぼる世界最古の文明の1つである / image credit:David Stanley / WIKI commonsテル・ウバイド遺跡で発見された人型のトカゲの像 今回、この異様な遺物が発見されたのは、テル・アル・ウバイドといわれる遺跡だが、これらはウルやエリドゥでも発見されている。
テル・アル・ウバイドの遺跡は、直径500メートル、高さ2メートルほどの小さな丘で、1919年にハリー・レジナルド・ハルが初めて発掘したときに、姿勢の違う男女の小立像が見つかった。
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イラクで発見されたウバイド文化のトカゲ人間の像 / image credit:Mary Harrsch / WIKI commons
ほとんどの像はヘルメットのようなものを被っていて、肩にパッドのようなものが入って盛り上がっている。
ほかにも、正義や支配の象徴と思われる、杖または笏のようなものを持っている像もある。
像はそれぞれ異なったポーズをとっているが、もっとも奇妙なのは、乳を飲む赤ん坊を抱いている女性像だ。その赤ん坊もトカゲのような姿をしている。
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紀元前4000年頃のウルから出土した、子供を抱くトカゲのような頭をもつ女性。現在はイラク美術館に所蔵されている / image credit:Osama Shukir Muhammed Amin FRCP(Glasg) / WIKI commonsなぜ頭部がトカゲのような形をしているのか? 像は、細長い頭部、アーモンド型の目、先細りの長い顔、トカゲのような鼻をしており、まるでレプティリアン(ヒト型爬虫類)のようだ。
これがなにを表わしているのか、完全にはわかっていない。
考古学者たちは、授乳している女性の像などは、儀式的なものではないという。それならば、これらウバイドのトカゲ人間像はいったいなにを表わしているのか?
これらの像がなんであれ、古代ウバイドの人たちにとって重要なものだったようだ。ヘビは、例えばシュメールの神エンキなど、たくさんの神を表わす主要なシンボルとして多くの社会で使われてきたことはわかっている。
ヘビはのちに、古代社会の秘密結社とされる「ヘビの同胞団」のシンボルとして使われるようになった。ヘビのシンボルとトカゲ的な表現の間に関連性はあるのだろうか?
今のところ、この謎の答えはわかっていない。
References:Ancient Reptilians: The Unanswered Mystery of the 7,000-Year-Old Ubaid Lizardmen | Ancient Origins / written by konohazuku / edited by parumo
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