
夢を抱いて地方から大都会に出て独り暮らし。心細い時だってあるだろう。
ハンナ・ウィルソンさんは、楽しい時もつらい時も、ニューヨークに引っ越した時も、18年間いつも一緒に過ごして来た愛猫を虹の橋へと見送った。
傷心を癒せぬまま、猫と暮らしたアパートを後にすることになった彼女が、引っ越しの途中で目にした看板が「愛猫の残した奇跡のメッセージ」であると、SNSで大きな反響を呼んでいる。
大都会への移住をいっしょに乗り越えた愛猫の死
ハンナ・ウィルソンさんは、2021年に一念発起し、アメリカ中西部からニューヨークのマンハッタンへとやってきた。
私は生まれてからずっと中西部で暮らしていたんですが、姉がニューヨークに住んでいました。
当時はリモートワークをしていたので、ちょっと視野を広げて、気分を変えたいと思い、一念発起で引っ越しすることにしたんです
初めての大都会での一人暮らしは少し心細かったけれど、彼女は1人きりではなかった。
彼女の傍らには愛猫のサニーがいて、ずっと一緒に過ごして来た。ニューヨークという都会暮らしにも、サニーはすぐに馴染んだようだった。
彼は窓辺に座って、人間観察するのがお気に入りでした。うちは5階だったので、通りを歩く人たちを眺めたり、秋の景色や葉っぱが落ちるのを見たり。
春になると花が咲くのを見たり、太陽の光を浴びたり……そんなのが大好きだったみたいです
実際、アッパー・イーストサイドでの暮らしはサニーに合っていたようで、このアパートメントはすぐに彼らのステキなマイホームになった。
そのうちにハンナさんにはクリシュさんという恋人ができた。ハンナさんは、ライフスタイルの変化がサニーに与える影響について少し不安もあったようだ。
だがそんな不安は杞憂だった。サニーはすぐにクリシュさんと打ち解けて、ハンナさんが焼きもちを焼きたくなるくらい良好な関係を築いたという。
クリシュが現れるまでは、サニーと私のふたりだけの生活だったんです。
でもサニーはクリシュの後をついて歩いたり、バスルームまでついて行ったり、ベッドでは彼の上に乗って寝たり。正直、ちょっと嫉妬しちゃったくらい。
すごく居心地が良さそうで、とても優しく接していたと思います
サニーは2006年に、動物愛護協会からハンナさんが引き取ってきた茶トラのオスだ。ニューヨークに来たときには既に15歳になっていた。
徐々に健康の衰えが目立つようになったサニー。クリシュさんと一緒に、サニーを気遣いながらの暮らしが続いたが、2024年7月の初め、サニーは虹の橋のたもとへと旅立って行った。
自分の一部を手放すような気持ちでした。子どもの頃の自分や、自分の核の部分を失うような感覚だったんです。
彼はずっと私のそばにいてくれたの。理解できない人は「ただの猫じゃん」って言うかもしれないけど、私にとっては本当に大きな喪失感だったんです
18年という歳月を共に生きて来たハンナさんにとって、実際にサニー失った喪失感よりも、「いつか確実にその日が来る」という予期の方が辛かったかもしれないと語っている。
そんな時、そばで支えてくれたクリシュさんの存在が、彼女にとって非常に大きな支えとなった。
恋人との新しい生活をスタート、その瞬間に現れた「奇跡」
サニーが旅立ってからもうすぐ1年が経とうという2025年6月、ハンナさんは人生の次のステージへと歩みを進める決心をした。
サニーと暮らしたアパートを出て、クリシュさんと一緒に新しい生活を始めることになったのだ。
それは、私と彼の人生を一つにするという意味でもあり、結婚という次のステップへ進むということでもあったんです
2人はこれまでハンナさんが住んでいたアパートと、同じブロックにある新居へ引っ越しをすることに。
後ろ髪を引かれる思いでサニーと過ごしたアパートを出て、荷物を積んだ車で新居へと移動している途中、突然奇跡が舞い降りた。
古いアパートから新しいアパートに車で移動していて、そのブロックの角を左に曲がった時、クリシュが突然外を指差したの。
私たちはもう、ぽかんと口を開けてしまったわ。だって、前に住んでたアパートのすぐ向かいだったんですよ
私は「なんで今までこれに気づかなかったの?」って本当に驚いてしまって。信じられない思いでした
そこにあった看板には「Sunny Relaxing Spa(サニー・リラクシング・スパ)」と書かれていた。
それはまるでサニー自身からのメッセージのように感じられたのだ。
どうやらこのスパはオープンしたばかりらしく、ハンナさんがその存在を知らなかったのも当然だったようだ。
だがこのタイミングで飛び込んで来た「サニー」という名前、そして「リラックス」の文字は、ハンナさんに大きな衝撃を与えた。
きっと彼が、「僕は大丈夫だよ、穏やかに休んでるからね」って伝えてくれてるんだと思います。
サニーという看板の文字を見ただけで涙がこみ上げてきました。彼がどこか居心地の良いでリラックスしていたら嬉しいですよね。例えば猫のスパとか
ハンナさんは、サニーがまだ何らかの形で、自分と一緒にいてくれる。そんな不思議な感覚に襲われたという。
偶然なんてものはないけど、この出来事は「運命だった」と感じました。この看板がある限り、彼が私たちと一緒に、いつもそばにいてくれると思うだけで心が安らぐんです。
私はいつも「サニー」のサインを探しているの。太陽のマークとかを見かけると、つい買っちゃうんですよね
英語の「サニー(Sunny)」は「晴れ」とか「雲一つない」とか、「陽の光がさんさんと降り注ぐ」とか言った意味の言葉だ。
実はサニーが旅立ってから1か月と少し過ぎた2024年の8月頃、ハンナさんはサニーによく似た茶トラの子猫を家族に迎え入れていた。
新しい猫に「サムソン」て名付けたんだけど、これはギリシャ語で「サニー」って意味なの。サニーは本当に喜びやポジティブさを体現していた子でした
下の動画は、まだ引っ越しをする前の家で、窓辺で外を見ているサムソンが最初に映し出されており、その後、生前のサニーへと切り替わる。
まるで生き写しのようによく似た2匹だ。
愛猫が残してくれた「光」と共に生きる決意
この出来事をTikTokでシェアすると、たくさんのフォロワーから優しいコメントが送られて来た。
- 私の「魂の猫」も16年間そばにいてくれました。私が夫に出会うまでずっと。サニーがあなたのそばにいて、旅立つ前にちゃんと「家まで送ってくれた」こと、本当に素敵だと思います!
- このコメントを読んで涙が止まりません…(ハンナさんコメ)
- 私も大切な子を2023年12月に亡くして、今も毎日泣いています。スーパーでたまたま、冷蔵ケースの中に彼女の名前が印刷されたコーラのネーミングボトルが1本だけおいてあって……。その場で号泣してしまいました
- うちの子もいつかは旅立って、私は彼なしで生きて行かねばならない日が来るってことなのよね
- 私にはまだ、うちの子も歳を取るってことへの心の準備ができていないみたい
- 彼はあなたが幸せで安全だって確認できるまで待っていて、それから次の冒険に旅立ったのね。今はきっと、私たちみんなが愛して失ったたくさんのペットたちと一緒に、安心して幸せに過ごしているはずです
- 私の猫もサニーという名前の女の子で、2022年に亡くなったの。私も彼女が恋しくて仕方がない時に、「私は大丈夫よ」っていうサインを受け取ることがあるわ。サニーたちがふわふわの雲と虹の中で、安全に元気に遊んでいることを願っています
- 私は愛犬を去年の9月に見送りました。来月、初めて彼抜きの引っ越しをします。それがとても辛くて……。
まるで彼を置いて行ってしまうようで、罪悪感でいっぱいです
- 私もサニーを失った場所から引っ越したとき、同じ気持ちになりました。でも結局、彼はあなたがいる場所にいつだっているんです。彼はあなたの守護天使で、いつも後ろにいてくれるんですよ(ハンナさんコメ)
- 猫ママ仲間としてご挨拶! 私と愛猫たちもいっしょにアッパーイーストサイドに引っ越してきて、あの看板を見ました! それがあなたに心の平穏をもたらしてくれたと知って、本当に嬉しいです
- あなたの人生にサニーがいたこと自体が、素晴らしい特権だったと思います。心からお悔やみ申し上げます。「愛すること、愛されることは、太陽を両側から感じるようなもの」という言葉を贈ります
- サムソンを飼ってくれてありがとう! サニーもきっと心から喜んでくれているはずよ
寄せられた温かいコメントの数々を読んで、ハンナさんは涙が止まらなかったという。
サニーを失ってから、人生が少しだけ暗く感じられるようになってしまったというハンナさん。
だがサニーがその名の通りもたらしてくれた明るい光を、いつまでも心の中に持ち続けようと努めているそうだ。
彼がいなくなってから、私はある意味、光を失ってしまった気がします。歳をとって少し感傷的になっているだけなのかもしれないけど……。
でもサニーの一部は今でも私の中にいて、喜びやポジティブさ、光や善みたいなものとして生き続けているって、そう思うようにしてるんです